THE 技 遊びゴコロあふれるワザ

ものづくりのまち尼崎に息づく匠の技の数々。最先端技術、職人技、妙技、必殺技…。
アマから繰り出されるワザに迫る

jigajaga 2002年頃から活動をはじめた鞄メーカー。画材を塗った帆布と独特のフォルムで、若い女性を中心にブレイクの兆しを見せている。南堀江、元町の洋服屋へと販売は広がりつつある。

立花にあるアパートの一室。ロール状になった帆布に囲まれ、年季の入った工業用ミシンに向かう。ここから作り出されるのは鞄。ジェッソ加工した帆布でカバンをつくるユニットがいる。安達真弓さんと寺西昌子さんの二人が立ち上げたブランドJigajagaの技を訪ねた。

ジェッソとはキャンバスの下地づくりに使われる液剤である。色は主に黒と白。厚めのキャンパス地に、大胆にときに繊細に、ハケで塗り込んでいく。1日寝かせアイロンをかけ、生地に定着させる。ここまでは油絵を描く行程とほとんど変わらない。

寺西さんがそれを裁断し、工業用ミシンで形を作っていく。ストラップには丁寧に磨かれツヤがでた牛革が使われる。取り付けの金具には、シルバーアクセサリー作家でもある安達さんの技が光る。

安達さんがデザイン、金具制作や販促物、営業活動を担当し、寺西さんが鞄づくりの工程を担当している。息のあった二人だからできる共同作業。

一見オイルド加工のようだが、べたつき感はまったくない。初めは固くてゴワゴワするが、使い込むうちに、自分の体にフィットして、独特のフォルムが体を包む。ジェッソを塗った素材の風合いもいい味わいを見せる。

本来画材として使うジェッソが塗られた鞄は珍しく、筆者の知る限り、お目にかかったことはない。ブランド名はスペイン語で「遊びゴコロのある」。

jigajagaの発想に「技あり」である。■大隅要