すごいぞ!アマの給食! 最新給食事情

「牛乳を鼻から出した」「好きな子に多めによそった」など、淡い郷愁を抱かせる給食。こだわりがすごいと評判のおさなご保育園にお邪魔した。

季節の実りを感じる子どもたち

「おハシもちゃんと使えるよ」おさなご保育園では、3才の誕生日から使い方を教える。

その日は、平尾渉太くんの5歳の誕生日。ちょうどお昼から始まったお祝いの場に、大きなケーキや派手なプレゼントはない。ただ、テーブルに並ぶ昼ごはんは、子どもたちがはじめから調理し、盛り付けたものだという。

毎朝登園すると、子どもたちは昼食に調理される食材を見たり触ったりしながら、好奇心の赴くままに時間を過ごす。0~1歳児にいたっては、食材の名を言えるようになるずっと前から、その存在を体で知っていることになる。ときには、農家や漁師が保育園を訪れたり、頭のついた魚から身をほぐし、取り分けて食べることもある。食べものに興味を感じたり、作っている人の顔を重ねることで、価値観の成長にもつながっているという。

「配膳も自分たちで」
「きょうのおやつはな~に?」カウンターごしに話がはずむ
子どもの目線でのぞく調理室

食べるという行為にまつわることを、理屈でなく体験を通して伝えていくという考え方は、調理室の形にもよく現れている。調理室は食堂に面しており、カウンターが設けられている。調理士の小西律子さんが「23年前、この保育園を建てるときに一番こだわった」という。その高さ、68センチ。一人歩きができるようになる、生後11ヵ月の子供が中をのぞき見れる高さだ。ここで子どもたちは、朝見た食材がどんな風に昼ごはんに変わるのかをライブで体験することができる。毎日献立を聞きに来る子や、生後ウン歳にして世間話に花を咲かせる子などが集まる、人気の場所だ。

そもそも、食事は四季折々の実りや行事と密接に結びついたもの。食べるということはこんなに豊かなことか。子どもたちと同じお昼を噛みしめながら、ニンジンの葉のふりかけをご飯にかけようとすると、隣の子に「一回だけ」と怒られた。■綱本武雄