突撃!従業員食堂 知る人ぞ知る、秘密の食堂オンパレード

ジュウギョウイン食堂。きっと、そこには従業員だけが味える、[魅惑のメニュー]があるのでは…。淡い期待に胸をふくらませ、一般にも開放されている食堂を探してみた。安い、早い、ウマい。おまけにボリューム満点。これはちょっとヤミつきになる。

尼崎市役所 地下に潜るとそこは…

12時のチャイムとともに、職員がいっせいになだれ込み、180席ほどの食堂は即満席に。「ヘルシーランチ」(450円)の食券を買ってカウンターへ並ぶ。本日のメニューは「チキンピカタと鯖の味噌煮」ー洋と和のすばらしいコンビネーションだ。他にも白和え、こんにゃくの煮物、玉子焼き…ヘルシーの名前に違わず、栄養士が考えた12品目が盛り付けられている。プラス吸い物と山高く盛られた白飯。貴重な昼休みを有効に使うべく、職員たちは平均5分でこれらを平らげる。早飯は暗黙のルールのようだ。嵐のような昼休みが終わると、近所のお年寄りがポツポツとやって来る。ねらい目は11時半ごろか。メニューは他にも和定食・洋定食が選べる。きつね、カレー、月見うどんはすべて150円。

尼崎中央警察署 ジーパン、ゴリさんはいませんが

制服、ジャージ、スーツと様々なコスチュームをまとった屈強な男たちが集う中央警察署の食堂。「デカの基本は早飯だあ!」とどやされる新米刑事の姿は見なかったが、事件を報じるテレビに注がれる男たちの眼差しに刑事魂を感じる。「はーい、600万円ね」という丁寧な接客にも好感が持てる。サクサク衣の大判トンカツ、大盛りキャベツ、つけあわせのスパゲティは山盛り、とろ~り半熟目玉焼きに、味噌汁とご飯で600円のトンカツ定食。他にも幕の内、スタミナ丼、豚汁、野菜炒め、塩サバ、カレーうどん…10種類を超えるラインアップは、近隣のお店にもひけをとらない。しかも定食はすべて600円。夜勤明けの警官のために、朝は7時半から営業しているのも嬉しい。夕方は19時ごろまで。

尼崎美化環境局 味付けはしっかり これぞ、働く男のお昼ごはん

それは、ゴミ焼却場の敷地の一角にあり、正午になるとゴム長に作業着をまとった職員が次々と集まってくる場所。みな何を食べるか決めていたのだろうか、大して悩みもせずお目当ての品をてきぱきと注文している。日替わりランチはAとBの2種類。献立はひと月分が壁にはりだされている。今日のAランチ(450円)は、から揚げとコロッケ。ご飯、味噌汁に加え、好きな小鉢を1つ選ぶ。職員に味を聞いてみると「ちょっと味付けが濃い気がするね。汗をかく仕事の人が多いからかな」。近隣の会社員や、出入り業者の利用も多いという。営業時間は朝7時から13時ごろまで。メニューはうどん・そば(150円)カレーライス(300円)ラーメン(250円)。

武庫川工業団地 尼崎最南端 隠れ家的食堂

武庫川沿いを車で南へ走ると、工場が立ち並ぶなか「昼定食」と書かれたのれんが現れる。一般に開放されている工場の食堂は市内でも珍しい。武庫川工業団地の事務所で食券を買い、グレーやカーキの作業服に身を包んだ労働者に囲まれ、味噌汁つきのAランチ(480円)を注文する。厨房の中では「Aランチです~」と大合唱。おかずと小鉢はカウンターに並んだメニューから好きなものを選ぶ大衆食堂スタイル。油で汚れた作業着を着くずした男たちが飯をかきこむ姿に思わず見とれてしまう。社員食堂は関係者以外は立ち入り禁止がほとんど。尼崎南部工業地域の一コマをほんのちょっとだけのぞかせてもらえる、尼崎最南端の食べ処である。

尼センデパート 関係者以外立ち入り禁止!でもちょっとだけ…

「いや~取材はちょっとカンベンしてや」と言われれば、ますます見たくなるというもの。阪神尼崎駅の尼センデパートにも、従業員食堂がある。「本当は関係者以外立ち入り禁止なんですよ」と田村副理事長が案内してくれた食堂は、尼センで働く人々のオアシス。一日中店に立って、常に接客を心がける彼らにとって、客の目から解放される唯一の場所なのだ。「だから一般の人に入って来られるとちょっと困るんですわ」と田村さん。といいながらもタクシードライバーの姿がちらほら。 駅前にタクシーを止めて、パッと昼ご飯をすませる運転手の穴場的食堂なのだろう。苦笑いしながら田村さん。「いやいや、関係者以外立ち入り禁止ってちゃんと書いといてね」。