神主のぶらり街歩き
連載第29回 口笛に誘われてぶらり
昔、「夜に口笛吹いたら蛇がでるからダメよ!」って怒られた。また「お前、怒られている時に、何、口笛吹いんとんねん」と吉本新喜劇のネタもある。
私たちにとって、その程度の存在である口笛。しかし、その口笛で世界の頂点を極める大会があることをご存知だろうか? そして、その頂点を極めたことのある女性が、昨年行われた当社の遷座三百年記念祭に口笛演奏奉納をしてくれた。
平成24年4月にアメリカ・ノースカロライナ州で開催された第39回国際口笛大会のティーンエイジ部門で優勝した中田成実さん。神事では、「私のお気に入り」、そして「花は咲く」を口笛で演奏。伴奏はあるものの、鳥の囀りや普通では絶対出ないような高音を披露、参列者約150名が皆聞き入っていた。
3歳頃からお父さんの影響で口笛を吹き始めた中田さん。中学2年の時に、祖父母が見つけた、口笛の世界大会で優勝した子の動画を見たことで興味を持ち出した。中学3年のとき、日本で開催された世界大会のティーンエイジ部門でいきなり優勝すると、高校1年、大学1年でも優勝するなど、ほぼ毎年、上位2位までに食い込む実力の持ち主なのだ。
「大会はとてもフレンドリーで、審査員が口笛教室を開いてくれたり、参加者や関係者との食事会があって、面白い人も多く異文化交流もできます。中学時代はあまり英語が話せなかったので、口笛で鳥の鳴きまねをして会話していましたよ(笑)」と中田さん。ちなみに世界大会に出場するために地域予選や国内予選などはなく、テープ審査のみでいきなり世界大会、ということが多いそうだ。
「とにかく、毎日一音でも出さないと音が悪くなるので、曲を練習する時間が無い日でも音だけは出すよう心がけています。中学・高校時代に吹奏楽部に所属していたので、ブレスコントロールや肺活量、腹筋は無意識の内に鍛えられたと思います」と中田さん。レパートリーについて尋ねると「コンクールなど人前で吹くために練習した曲は20曲くらいですが、知っている曲なら伴奏さえあれば何でも吹けますよ」とのこと。
中田さんの夢は、口笛演奏のCDを作成することとのこと。ぜひその夢を叶えて、ヒット祈願を貴布禰神社で行いましょう!
江田 政亮 えだ まさすけ
だんじり祭り、地域寄席…いつでも尼崎人にオープンなお社きふねさんの第17代宮司。「国道43号線にだんじりを走らせたい」と南部再生への想いは日々強まる。ラジオ番組「8時だヨ!神さま仏さま」(FMあまがさき毎週水曜日夜8時~)も好評放送中。podcastも。