神主のぶらり街歩き

連載第21回 阪神バスの車庫をぶらり

阪神電車の尼崎センタープール前駅を下車し、道意線を北へ。菜切山の交差点を左折してしばらく歩くと、バスがたくさん止められている場所にたどり着く。阪神バスの尼崎営業所(通称・浜田車庫)だ。

フェンス越しにお稲荷さんらしきお社を発見したので、事務所を訪ねてみた。

お相手をしてくださったのは阪神バス株式会社の田中信行さん。「ここは本社でもあり、阪神バスが所有する194両のバスのうち、108両が登録されている一番大きな車庫です。一般路線バスはもちろん、高速バスや貸し切りバスも見ることができますよ」。

阪神バスの前身は阪神電気鉄道の自動車部。その自動車部が昭和24年に設立されるまでは、阪神国道自動車という会社が国道2号大阪神戸間開通(昭和3年)の後、バスを運行していた。

バスが頻繁に出入りする中、田中さんに特別にお稲荷さんまで案内していただいた。朱の鳥居には「阪国道守稲荷大明神」の額がかかっている。読み方は「はんこくみちまもりいなりだいみょうじん」。お稲荷さんの称号は地元にちなんだ名称が付けられることが多いが、まさに「阪神国道の道を守っていただく神さん」にぴったりのお名前だ。

今でも年に1度、近隣神社の神主さんに来ていただいて「初午祭」を行っておられ、約30名の社員さんが参列し、バス運行の安全を祈願されている。「社長が準備した実績報告と、新たな決意を記した誓約書を神主さんに代読していただいたり、参列できない社員のため、砂糖菓子を配布して安全祈願神事が行われたことを知らせているんですよ」と田中さん。素敵な神事内容に、当社でも取り入れさせていただこうと決意したほどだ。

一般路線バスだけでも、西は神戸、北は甲山や宝塚、南は西宮浜や鳴尾浜、東は天神橋筋六丁目まで、広域にバス事業を展開しておられる阪神バスさんの安全の原点は阪国道守稲荷さんにあり!当社も新たに「第二阪国(43号)道守」の神さんをお祀りして、国道43号線を走るすべての車の安全を見守ることにしましょうか!?


江田 政亮 えだ まさすけ
だんじり祭り、地域寄席…いつでも尼崎人にオープンなお社きふねさんの第17代宮司。「国道43号線にだんじりを走らせたい」と南部再生への想いは日々強まる。ラジオ番組「8時だヨ!神さま仏さま」(FMあまがさき毎週水曜日夜8時~)も好評放送中。podcastも。