変わるワークスタイル

こんな働き方もあったのか…。尼崎で出会った新たな二つの仕事観

「社会を変える」は仕事になるか?

駅前に現れたのは、カラフルな袋を持ってゴミを拾う人々。「仕事休みなんで息抜きに」という30代の男性や、「ネットで見て娘と一緒に参加しました」といった女性など顔ぶれは様々だ。「身近なことから社会を変えることができれば」と主催するNPO「スマイルスタイル」代表の塩山諒さん(23)は意気込む。

ゴミ拾いで飯が食えるのか。多くの大人にそう言われたが、昨年参加したビジネスプランコンぺでは、ユニークな活動と強いメッセージで奨励賞を勝ち取った。スポンサーに名乗りでる企業もあらわれたという。「働いているという感覚じゃない。まだ若いので今できることを精一杯やっているだけ。お金は後からついて来ると信じています」。就職だけが仕事じゃない、想いを仕事に変える新たな働き方を実践している。

スマイルスタイル代表 塩山諒さん

尼崎で生まれ育った塩山さん(写真左)を中心に2007年結成。「オールナイトゴミ拾い」や、公園を若者の表現の場に変えるイベント「今日だけは僕の公園」など斬新な企画で注目を集める。

「ちょっと内職」のレベルじゃない

団地の一室にパソコンが3台。まるでスタジオのようなこの場所がテープライター、土屋恵美子さんの仕事場だ。会議の議事録から著名人のインタビュー、講演会、セミナーに至るまで、録音された音声を丹念に聞き文章にする。テープ、DVD、ICレコーダー等、基本的に録音された音声なら何でも引き受けるとあり、ネットを通して全国から注文が入る。

じつは二児の母でもある土屋さん。おもな作業は子どもが学校へ行く朝から夕方までで、「家事は気分転換」なのだそう。2時間の会議を起こすのに3日をかける。方言が入ったり、エキサイトした会議は聞き取るのに苦労するが、「貴重な話が聞けて収入になるなんて」と飽くまでも自然体だ。

ティーズ・オフィス・ケイ代表 土屋恵美子さん

出産を機に勤務先の会社を退職。在宅の仕事を考えていた折、偶然目にしたチラシで通信教育を受講。より実践的なオンライン講座を経て2002年に開業した。