大いなる新人

キャリアを生かして華麗なる転身を果たした第2の新人。 経験豊富なルーキーが会社やお店を変える。

大和建工材・武田敏治さん(43) 社長候補は「見習い中」

「武田です」と差し出された名刺の肩書きは「営業見習い(取締役)」。大手都銀を辞し、タラップなどの金属製品を造る家業を継ぐべく戻って4年になるが、「見習い」の文字は取れない。いや、取らない。「モノづくりの世界は奥深い。日々勉強していますが、知らないことも多く、職人さんに教わってます」。銀行時代は、企業融資に都市開発、社費留学を経て海外提携行の副頭取アドバイザーと「1億、2億は誤差の世界」。いまは一転、ミリ単位の精度を追究する世界でエキスパートを目指す。

三和本通商店街・長座康司さん(66) 足で稼ぐ商店街ルーキー

30年以上勤めた病院事務職を定年退職。シルバー人材センターに「事務職希望」で登録した数日後、商店街の事務員の仕事が決まった。商店街の120店あまり一軒一軒への挨拶回りから始まった仕事。3年目となった今、店主らから「長さん(長座さん)が来てから雰囲気が明るくなった」と言われる評判までに。毎日、「まいど!」と威勢よく店主に声をかけながら、商店街を巡回する。1日の終わり、万歩計は1万5千歩にも達する。「そういえば病院勤務時代の肩こりもなくなった」と、休日の海釣りで日焼けした顔に充実感がみなぎる。