高校生の職業観をはぐくむ

職に就かないニート、定職を持たないフリーターの増加が社会問題化している。高校生の職業観が危ない―尼崎の高校教師たちが立ち上がった。

ものづくりの人材を育ててきた定時制の市立尼崎工業高校。「昔は働きながら学ぶ生徒が大半でしたが、バブル崩壊後は定職を持たず通う生徒が増えました」と森山裕次郎先生(48)はいう。自身も30年前、自動車整備会社に勤めながら学んだOBだ。「雇用環境も悪いが、今の生徒の働く意欲にも問題がある」と危機感を募らせる。「高校くらい行っておいて」と親に言われ目的を持たない生徒が多いという。

「『おもろない』『しんどい』が口癖」という彼らに、就業体験を通して仕事の難しさと楽しさを味わってもらいたい―現場の声から、市立高等学校校長会が2005年に「尼っ子自立・NOニート推進協議会」を発足させた。企業に協力を呼びかけ、教師も生徒と一緒に現場でインターンシップに参加する。06年にはカバヤ食品の宣伝カー復活を手がけ話題を呼んだ。「最初は渋々参加していたが、自分の仕事が形になるにつれて目の輝きが変わってきた」と森山先生は手ごたえを感じている。