論:尼崎子ども劇場21年 稲垣雅子

自由に表現できる子に

忍者ごっこ
100名以上の豆忍者が寺町や公園を舞台に、綱渡りやクモの巣くぐりなどの修行に挑戦。最後は悪玉忍者との決戦も。

私たちはプロが演じる演劇、人形劇や音楽など生の舞台の観賞や手作りの遊びを通して、子どもの感性を育むために活動しています。感想を語り合ったり、終演後の役者さんとの交流などを通して、感じたことを表現できるようになって欲しいと思います。以前、子育ては親子だけのかかわりでなく、近所で暮す人たちを交えた「地域」も担っていました。最近は学校行事も少なくなり、意見を出し合い、一緒に創り上げる機会が少なくなったと聞きます。人のつながりが途絶えようとしている今だからこそ、人と交わし合える場が必要なのだと思います。

相手を思いやる心

ファミリー子どもキャンプ
キャンプは毎年8月に開催。ほかにも、川遊びや月見、クリスマス会など月に1回のペースで何らかのイベントが予定されている。

毎年夏に開催している子どもキャンプでは、高校生や青年が大きな役割を果たしています。彼らは家庭では子ども扱いされていますが、キャンプではリーダーとして子どもたちと交流しながら、計画・実践するなど大きな力を発揮します。

一方、子どもたちにとって彼らは、親と違って色々な事を語り合える仲間のような身近な存在です。この交流を通して青年たちは成長し、また子どもたちも、自分が大きくなったときに何をすればいいのかを学んでくれていると思います。

孤立しない子育てを

尼崎子ども劇場
1985年「子どもに夢と創造性を」をスローガンに発足。乳幼児から大人まで300人以上の会員が登録中だが、一時は1800人を超えたことも。

尼崎で活動を始めて20年。私たちと一緒に「げきじょう」で楽しんだ人が大勢います。ここ数年、子ども劇場で育った子が親となって、子どもを連れて入会してきています。子どもの頃、親自身がテレビっ子で孤独に育った人の中には、子どものあやし方や接し方がわからないという人も増えています。子育ての基本は親子で楽しむ。特に乳幼児期は感性の育つ最も大切な時期。子どもに語りかけ、子どもからの働きかけに答える環境が欠かせません。

例えば、初めての子育てで赤ちゃんが熱を出したときなど、「大丈夫だよ」という先輩お母さんの助言があれば安心して子育てができます。子ども劇場では乳幼児から思春期まで、各世代の子育ての悩みを出し合い、親同士が情報を交わし合っています。

子どもと楽しみながら、親も育ち合える場として、大勢の人に入会して欲しいと思っています。

子ども忍者、大井戸公園に参上!

2007年3月11日(日)10:30~14:30(申し込みは締め切りました)
尼崎子ども劇場 南塚口町1-6-9塚口ビル3階 tel&FAX 06-6427-6014


いながきまさこ

1953年福岡県粕屋郡生まれ。西日本新聞社勤務を経て結婚。尼崎へ移住後、3人の子育て中に友人の紹介で尼崎子ども劇場を知り、入会。89年から事務局員、95年からは事務局長を務める。携帯電話は持たないことがポリシー。