メガネ、メガネ… vol.3 煙突【えんとつ】

尼崎南部で見つけた気になる光景をかたっぱしからパシャッと集めた2ページ。連続する写真と妄想に酔いしれろ!

四方八方どの空を見ても1本は煙突がある。人間味溢れる煙突から芸術作品と見紛うばかりの後光炸裂煙突まで、彼らの何と多様なことか。その一本一本に人生が、歴史がある。頭上で繰り広げられる大乱痴気騒ぎ、目玉かっぽじって存分に見よ!

仁義あり!
子分を連れて運河沿いを行くのは、煙突界の大親分お供のガスタンクは鉄砲よけだ。「親分一人のほうが格段に安全やろ」と、若い衆皆が思っている。
かゆいところに…
あ?耳の奥がゴソゴソする…どこかにアレが落ちてないかな?っと。…ムム!?あの先っちょがふっくらとしたアレは…アレは耳かきではないかぁぁ!!
いぶし銀!
木漏れ日ならぬ家漏れ日が差し込む路地から空を見上げると、えらく貫禄のある煙突が目に入る。「トリオ・ザ・銭湯」の長兄的存在だ。全身についた錆びがイカス。
末っ子
「トリオ・ザ・銭湯」の一番年下。渋みも貫禄も無いがフレッシュさと元気が売りだ。しかし煙突横のはしごを見ていると昇りたくなるのは私だけだろうか?
モテ煙突は背中で語る
「トリオ・ザ・銭湯」のチイ兄ちゃん。体は小さいが仕事量は三本の中で一番多く、渋みほとばしる背中を指を咥えながら見つめるファン(換気扇)も多いと聞く。
我が生涯に・・
がっしりと盛り上がった二の腕。縦横無尽に走る筋繊維。お、お嬢さん!そいつに抱きついちゃいけねぇズラ!そいつは煙突界の世紀末覇者ズラよォォ!
煙突界のバロック派
集合型チムニー。煙突の一本一本は繊細だが、それらが寄り集まる事により重厚かつ躍動的なオーラを放つ。通称パイプオルガンorマシンガン。
ドクターチムニー
似てる・・いや、似すぎている。心配だ。学校やオフィスで大活躍の「あの」ボールペンのグリップを取るとこの姿にならないだろうか?・・いいのか?
ナウでヤングです
ジャラジャラと外見を飾り立てた彼はチンピラ兄ちゃんだ。全身に入った2色のタトゥーは体格の良さで親分の勝ち!負けるな若造!
モダン足長おじさん
ステキすぎる・・「紳士」以外どの言葉を使って紹介して良いかわからない。何だこのスラッとした姿は?住んでる所も綺麗だな。銀色の帽子も紳士的すぎる!

えんとつ日記

○月?日(金曜日)
きょう散歩中に工場地帯で工事中の煙突を見つけました。壊してるんかな?新しいの作ってるんかな?週末また見に行こう…。
○月▲日(土曜日)
あの煙突は取り壊し工事中のものでした。高さは半分以下になっていました。あ、でもその後ろに小さな影が…。
○月■日(日曜日)
あの煙突は無くなり、代わりに小さいのが出てきました。切り株に生えた新芽みたいで「煙突界にも大自然の営みあり!」と、興奮しました。

眼鏡人語
汽車は何故煙突からモクモク煙を吐き出すのか?それは真下で石炭が炎と壮絶な戦いを繰り広げているからだ。工場の煙突も銭湯の煙突も同じである。その下では人と機械の、情熱と動力の激しいぶつかり合いが繰り広げられている。そして煙突はその戦いを「黙々」と見守っているのだ。そう、自然が人の胸を打つ様に煙突は人に感動を与えるのだ。人生に絶望した人は夜のマシンガン煙突を見に行くといい。美しいものがある、それだけで毎日が楽しくなる事間違いなしだ。肩こりが辛い人は赤白の三角煙突に行くといい。ピラミッドパワーで10代のあの頃のように肩が軽くなるだろう(きっと)


まちのメガネ 山下祐生●やましたゆうき
エレクトリック・オートマティック三輪車を駆り、尼崎と西宮を行き来する19歳。20歳を目前にオカリナ練習に取り掛かる。