日常まち歩きの心得 目立たずに気を引く方法
いつもは何気なく歩く通勤通学路、買物ルート… 毎日の空間を楽しむココロエ
大庄武庫線の今回歩いた区間は車がようやくすれ違える程の道幅で、両側には店や住宅がぎっしりと並んでいる。そんな中で脇道や公民館の庭のように窪んだ空間に開放感を感じてほっとする。近くで動いているものからの圧迫感や緊張感は大きく、今回のように車通りの多い道では、なおさら開放された感じを受ける。色で目立たせなくとも空間に変化を与える事で目を引く事ができるともいえる。ただし、昔の町家が軒を列ねる街道筋のように連なる美しさもあるが。
人がまず目を引くのは、色や形が周囲とは違う(差がある)場合である。今回も色についてのコメントもある。しかし今回二人が注目したポイントは、目に飛び込んでくる程インパクトのあるものではなく、本来歩いた道から脇に入った所にある事が多く、また少し(一部が)見えているものや見え隠れしているものが多い。ただ歩くことと意識してのまち歩きの違いがここにある。
一般には奇抜になりがちな看板。しかしこの通りで見た看板達。上での紹介はなかったが、歯医者さんの看板で、白地に「○○歯科」の「歯」の文字だけが赤で書かれたものも面白いしわかりやすいと注目していた。それから優しい文字と感じたあいさつ推進道路の看板や、昔っぽさを感じた文具屋さんの看板や背後の建物に溶け込んだ電話ボックスのようにいい印象を受けたのは単純に目立っているだけのものではない。
じっくり見て見つけられる「気になる所」を普段から見つけられるようになりたい。そういう人が増えれば、まわりの景色に配慮した看板や建物などがもっと増えてくるだろう。
北尾 琴(きたおこと)
1975年神戸市生まれ 武庫川女子大学 生活環境学部 生活環境学科 建築都市設計学研究室助手