アマの響きに魅せられて

尼崎をアマと呼ぶ。地元への愛着や語感の心地よさから、店や会社の名前にもそんな愛称を使う。「アマ○○」が多いのも尼崎ならでは。

「尼崎眼鏡院を略してアマガンです。アマのたった2文字で尼崎を表す。やっぱりゴロがいいんでしょうね」と尼崎が生んだ眼鏡チェーンアマガン中央店、阪上弘さん。
「ここが僕の最初の店なんで、創業の地を大切にしたかった。たこやきと書いた方がわかりやすいんですけどね」とオーナー、高好弘樹さん。(中央商店街の尼たこ甚八)
尼崎製釘(せいてい)所、略してアマテイ。2000種類ものバリエーションの釘を製造。1900年の創業、尼崎が誇る釘のトップメーカーである。
杭瀬の老舗蒲鉾店尼米で聞いた。「名前の由来?ちゃんと聞いといたらよかったわ。そういえば死んだお義父さんの名前が米蔵(よねぞう)やったからかしら?」
市バスに大きくペイントされた真っ赤なキャラクター「あまっこ」。市民公募で選ばれたネーミングは、尼崎市交通局、略して「あまこう」と尼崎の元気な子ども「尼っ子」から。

特集後記

店名から店主の人柄を想像してみたり、地名から何百年も前のことを考えてみたり、会社名から職場の雰囲気を勝手に妄想する。名前に注目して、まちを歩くと楽しいもんである。想いや願いがたっぷり詰まった力作、歴史や文化の香りがただよう秀作、一発でハートをつかむインパクト重視の傑作ーこのまちにはまだまだ埋もれている。(W)