尼のネーミング王に聞く「ヒットする名前の秘訣」 株式会社ナカムラ 中村孝社長インタビュー

非常用面格子「トビデール」物干し台「タントホセール」など、尼崎発のヒット商品で秀逸なネーミングを連発する株式会社ナカムラ・中村孝社長(63)に話を聞いた。

建築金属製造メーカーとして1966年に創業。会社名も直球勝負。ロゴのエヌビーはナカムラブランドの印。 ホームページ

自然に逆らわないインパクト

トビデール●開発以来、改良を繰り返しながらあらゆる開口部に対応してきたトビデールのラインアップ。カタログ写真もわかりやすい!

1988年西宮で起きたマンション火災で、窓に取り付けられた面格子が邪魔で避難できず焼死したニュースを見て衝撃を受けた中村社長。「二度とあんな事故が起こらないように、何かできないか」と業界に先駆けて開発した面格子が[トビデール]だ。内部から開放でき、非常時には[飛び出る]ことができる発明品。阪神大震災ではその性能を発揮し多くの命を救い、科学技術庁長官賞や兵庫発明賞など数々の賞を受賞した。

商品の素晴らしさもさることながら、注目すべきはそのネーミングセンス。「トビデールは自然に思い浮かんだ名前。『そら、あきまへんわ』と社員に思い切り笑われました。それを見て『これはヒットする』と確信しました」。

何事も自然の流れに逆らわないという持論で、次々と新商品に名前を付けていく。ベランダに設置する物干し台につけた名前は「タントホセール」、たんと干せる。「誰も今まで使ったことのない商品を開発している自信がある。だから、商品名には分かりやすいインパクトが求められる」と中村社長は話す。

現在開発中の新商品があるという。こっそり名前を聞いた―その名は「シマッター」。たしかに分かりやすい…。

馬の名前にもこだわる!尼崎を背負う期待の牡馬

馬の名はアマノブレイブリー。中村社長がオーナーだ。「馬に自分のイニシャルとか名前を付けたりしてきたが、この馬には尼崎の名を背負わせた。強い馬になって尼崎を全国区にしたかったから」という社長の願いが通じたのか、今年5月には天皇賞(G1)デビュー。「夢はアマノ基金を作って、尼崎のための馬になって欲しい」と期待は膨らむ。