サイハッケン ステラおばさんは尼のおばちゃんだった?
長く住んでいても意外と知らないまちの愉しみ。「へえ~」と目からウロコの再発見!
ディープサウスの魅力をご堪能ください。
一度に1000枚のクッキーを15分で焼きあげるオーブンが3台もある。
国道43号を渡って工場地帯を自転車で走っていると、どこからともなく甘い匂いが…。香りの元をたどると、その先に見慣れた「おばさん」が笑ってた。デパートやショッピングモールで見かける「ステラおばさん」の看板がついた建物がある。そう、なんとクッキーで有名な全国ブランドの工場が道意町にあったのだった。
取材依頼に快く対応くださったのは、センター長の古賀さんと悴山さん。1974年創業の「ステラおばさんのクッキー」は全国で約60店舗を展開し、2012年4月に八尾市からここ尼崎へと製造拠点がうつってきた。全国のお店に並ぶクッキー生地とほとんどのギフト商品を製造しているという。
ところでステラおばさんって本当にいるんですか? 「創業者の叔母さんで、アメリカ・ペンシルバニアの幼稚園の先生という実在の人物なんです。彼女のクッキーがあまりにも美味しかったので甥である創業者が日本でチェーン展開したと聞いています」と悴山さん。まさにアメリカのママの味というわけだ。
工場の生産ラインも見学させてもらった。ハイテクな工場だが従業員も多くて、何だか手づくり感があふれている。「特にチョコチップクッキーはどこにも負けない風味の良さが自慢です」というのは大手製菓メーカーでキャリアを積んだ古賀センター長。
繁忙期には、工場は3交替制で24時間フル稼働し、120人体制になる。尼崎に移転してからは、ここで働く人の8割は尼崎市民で、そのうち6割が女性という。まさにメイドイン尼崎なクッキー。「ステラおばさんは尼のおばちゃんだった」というのはちょっと言いすぎ?
取材と文/香山明子
「ステラおばさん」を尼崎で発見してから約1年。念願の工場取材で焼きたてクッキーをいただきました。