意外と知らない選挙のルールNO MORE 選挙違反

選挙のルールブック「公職選挙法」。でも、何がOKで、何がNGか、なかなかわかりにくいもの。意外と知らないタブーもあるので、ご注意を!

監修:尼崎市選挙管理委員会事務局

Q1 選挙運動って、そもそもなに?

T選挙の告示日に立候補が受理されてから投票日前日まで(尼崎市議選は1週間)に行う投票呼びかけのことです。この期間に入ると、一般的な政治活動とは異なる厳格なルールが適用されます。選挙ポスター掲示、選挙カーでの連呼、街頭演説、電話作戦(投票依頼)などがOKになりますが、買収はもちろん、戸別訪問や飲食接待はNG。選挙運動期間より前に具体的な選挙名や候補者名を挙げて、「清き一票を」と呼びかけるのは「事前運動」といわれ、ご法度です。

政治活動 政治信条の訴え 街の未来を語る等
選挙運動 投票呼びかけ 氏名の連呼等 → 告示日から投票日の前日までだけOK

Q2 ポスターやビラ、名刺、はがき…何をまいてもいいの?

これらは「文書図画」と呼ばれ、掲示・配布できる種類と枚数、サイズが決まっています。例えば、選挙事務所を示すポスター・立札・看板は計3枚まで、縦350cm×横100cm以内。市内649カ所の公営ポスター掲示場には各1枚、縦42cm×横30cm以内…など。目立ちたいところですが、アドバルーンや電光表示はNG。期間中に配布できるのは、尼崎市議選の場合、はがき2000枚のみ。インターネットは「文書図画の配布」と見なされるため、期間中の更新は、これまでNGだったんですね(※注)。ただし、有料の新聞広告は2回まで可。これらの規定を満たし、虚偽がなければ表現は自由で、例えば若い頃の男前な写真を使ってもよいそうですが、そこはまあ常識の範囲で…。

※今年7月の参院選からネット選挙運動が解禁されることになりました。

Q3 選挙スタッフへの謝礼はいかほど?

選挙運動員はボランティアが基本で、交通費は実費支給、弁当や宿泊料も細かく上限が設定されています。弁当は1食1000円以内、運動員15人×3食×7日で315食まで。選挙費用を抑えるためですが、例外もあり、ウグイス嬢や手話通訳者などの専門技能者のほか、選挙カー以外の車の運転、ポスター貼りやはがきの宛名書きといった単純労働には1万円以内の日当を支給できます。これを超えると買収の疑いが出てくるそうで…。

Q4 え?お酒の差し入れはダメでお金はOKなの?

「湯茶」といわれるお茶と茶菓子程度を除き、飲食物の提供は誰が誰に出すのも禁止されています。「陣中見舞い」と称して、お酒や菓子折などを持って事務所を訪れるのも、実はNG。これは受け取った側ではなく、贈った側の違反となります。こういう時は意外なことに、お金なら良いそうです。ふだんの政治活動でお金の出入りが厳しく制限されている政治家に対し、個人がお金を直接渡せる=寄付できるのは選挙の時だけ。ただし、上限は年間150万円で、企業や団体からは渡せません。

Q5 選挙違反するとどうなるの?

選挙違反を取り締まるのは警察で、選挙が近づくと取締本部が設置されます。最も重大な違反は買収、つまり、金品や飲食の見返りに投票や票の取りまとめ、または、特定の候補に投票しないよう依頼することです。罰則は、最高4年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金。これ以外にも、先述のようなさまざまな違反行為がないか、警察は目を光らせています。候補者本人ではなく、選挙運動の責任者や運動員、親族などが違反を犯した場合にも「連座制」が適用され、当選が取り消されることもあります。