尼とギャンブルダート駆ける疾風 園田競馬

まずは行ってみよう競馬体験記

「臨時収入♪」の淡い期待を胸にいそいそ出かけた園田。開門前の入口にはやはりオッチャンが圧倒的多数。地方競馬は平日開催が基本なので、来られる人はやっぱり限られている様子。

さて、私たち取材班にご用意いただいた部屋は、冷暖房完備のガラス張りで眺めのいい、その名も「ホワイトルーム」で、専属の女性スタッフが出迎えてくれました。3階席だけあって場内の見晴しはバツグン、遠方にはうっすらと雪化粧した北摂山系まで一望。「すごーい」。ちょっとしたセレブ気分に浸りながらも、さっそく馬券を買います。

この日は30分ごとに全12レース。この30分間に次の予想馬を決める作業はなかなか忙しいのです。最初は手元の予想紙『競馬キンキ』を見る間もないまま、馬の名前だけのインスピレーションで決めてみました。チョコサンデー、ムーンカプチーノ、なんて美味しそうな名前を選びました。結果、あっさりハズレ。次は予想紙の「予想印」と「厩舎のはなし」をじっくり読み、でも本命馬を外してー、という浅知恵を働かせ決めます。

レースは1400メートル走が中心。足の速いお馬さんたちは1分半ほどで走り切ってしまいます。10頭あまりが走る中、自分が賭けた馬が何番手なのか、素人の私には目が追いつきません。電光掲示板で結果を見ると、ハズレてました…。

負け続けても「腹が減っては~」とお昼ごはんへ。場内には油の染み付いた暖簾のたなびく「ザ大衆食堂」な店がずらりと並んでいます。つい昼間から「生一杯!」と言ってしまいました。

[体験した人] 香山明子
数千円をスってしまったが、100円の入場券で一日遊べるアミューズメント施設と考えれば、割とお得な遊びかも、と思い直し、祝日開催日にリベンジを誓う編集部員

再びレースに戻り、今度は出走直前の馬を見にパドックへ。「顔つきや毛づや、態度…なんかを観察してみるんだよね?」と、じっくりは観察してみましたが、みんな美形のお利口さんばかりで、さっぱり予想できません。なので、隣りのしたり顔のオッチャンらが「やっぱ8番やな」と言っていたのを盗み聴きして、「じゃ、私も8番」で決めてみることにしました。が、これまたやっぱりハズレ。え~い、最後は小さなお立ち台に立つ予想屋さんを頼ることに。100円で購入した小さな紙切れに書かれた数字は「3 8」。そのまま買ってみました。でもでも…やっぱりハズレました。

自力でも他力でもハズレばっか。競馬ってつくづく難しいもんなんだと悟り、「ビギナーズラックなんてないもんだねえ」と、取材班のW氏に相槌を求めようとしたら、「えっ、何なに? オレ今、万馬券当たったみたい」と、100円の馬券を払戻機に入れ2万5千円が即金で出てくるのを目撃!! その後、もちろんおごりで正門前の立呑み屋「うまかっちゃん」で、まだ陽が高いうちから祝杯を上げ、私の競馬体験は終わったのでした。


まずは基本をおさえよう競馬マークシート

設立 1930年(昭和5)
当初は県畜産組合連合会が主催。1948年からは兵庫県、神戸、尼崎、西宮、芦屋、明石が主催し公営化。現在は県と尼崎、姫路の3者で組合を設置し開催。

場所 田能
猪名川沿いにある競馬場。阪急園田駅、JR尼崎駅、阪神尼崎駅から無料送迎バスが運行。

年間来場者数と年間売得金(園田競馬のみ) 平成22年度 56万人/281億円※本場入場人員のみ
ピークの平成3年(936億円)からはおよそ7割減。

開催日 年間145日
県競馬組合では、園田と姫路の2場でレースを開催。例年園田145日、姫路18日前後の日程はいずれも土日を除く開催。

券の買い方 5~12頭立
一口100円から。基本は競艇と同じだが、出頭数の多いレースには枠番などが登場。

キャラクター
世界的アーティスト横尾忠則(西脇市出身)によるデザイン。名前はない。

場内の名物フード たこ天(1本150円)
創業60年の明石屋名物。明石ダコを使い「吸いつく」ように当るのだとか。

知っておきたい専門用語集
[返し馬]パドックを出た後、本馬場をウォーミングアップのために走ること。馬の状態を見る最後のチャンス。ここで勝ち馬を見極める。
[重馬場]馬場の水分量が少ない順に、「良」「稍(やや)重」「重」「不良」と区分される。ダートの園田ではひどい不良の場合は「田んぼ」とも。
[メンコ]馬が顔につけるマスクの一種。物音が苦手な馬の耳を塞ぐ役割がある。よそ見を防ぐブリンカーやシャドーロールなどの種類も。

ビギナーへのおすすめ ホワイトルーム
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