サイハッケン 尼崎の南端に育苗場があった。
長く住んでいても意外と知らないまちの愉しみ。「へえ~」と目からウロコの再発見!
ディープサウスの魅力をご堪能ください。
すぐ頭上は阪神高速湾岸線が走る場所に並ぶ苗
山がなく、緑の少ない尼崎に「100年かけて森をつくろう」というビッグプロジェクト「尼崎21世紀の森構想」がスタートしたのは2002年。指定された43号線以南の1千ヘクタールのうち、2006年の兵庫国体の会場にもなった施設「尼崎スポーツの森」がある「尼崎の森中央緑地」。先導整備地区として06年からすでに1万本の植樹がされている。
その「尼崎スポーツの森」に隣接して、小さな苗木のポットがたくさん並ぶ育苗場がある。小さな双葉からやっと数十センチにまで伸びたものなど、その数なんと75種類の2万ポット。「市民参画」を謳う森づくりは、どんぐりを植えて苗木を育てるところから地道に行われているのだ。
この活動を支えるのが市民団体「アマフォレストの会」。代表の高木一宇さん(68)は、60歳で定年退職後、森林ボランティア活動に取り組むようになった。兵庫県や大阪府の各地で活動をしていたが、尼崎でも森づくりが始まると知ると、すぐに自ら名乗りを上げた。「地域産のどんぐりを集め、ゼロから森を作りだすというコンセプトに共感した」という。月2回の活動日に参加するメンバーも同じ思いだ。
最近は、小学生向けの環境体験学習も受け入れている。「森が生まれることを体験できる貴重な場なんですよ」と高木さん。六甲山まで行かなくても尼崎に森がある、そのイメージが高木さんたちの頭にはクッキリと描かれているという。「尼崎に森なんて…」という半信半疑のそこのあなた、一緒に育苗場で汗してみると、きっと森のイメージが頭の中に浮かんでくるはず。
取材と文/香山明子
最近プール通い始めました。ゆっくり長く泳げるようになりたいな…。