群島通信

徳之島ってそんなところにあったんだ。米軍基地の移設騒動ではじめて知った人も多いはず。8つの有人島とその属島からなる奄美群島。シマとアマをつなぐ動きが面白い。

西立花に喜界島大使館が

自宅兼仕事場の玄関にたなびく「喜界島大使館」の黄色い旗。西立花町3丁目にある喜界町アンテナショップだ。オーナーの大倉豊二さん(60)は、中学卒業後、集団就職で大阪へ。23歳で独立し鉄工所を構えた。忙しい日々の中でも同郷のつながりは強く、その情報発信力を買われ、2006年、全国でも14軒しかない「大使館」になった。

大使館には、喜界島から取り寄せた特産品の黒糖焼酎、黒糖、ざらめなどが大量に届く。イベントへの出店も多く、そこで出会ったお客さんから後々発注が入ることも。島では大倉さんが過ごした子供の頃より、さらにサトウキビの耕作地は増え、複数のメーカーが品質にしのぎを削る。「黒糖はやっぱり喜界島産が一番。全国的にも人気の高い黒糖焼酎のブランドも」と、尼崎で故郷の味を広めている。

さつまギャラリー開館!

道路に面したガラス張りのスペースには、大河ドラマ『篤姫』や鹿児島の観光PRポスター、サンゴ礁や砂浜の写真などが展示されている。「ギャラリーまるごと薩摩路」(大庄中通2)は2008年1月に開館し、奄美をはじめ鹿児島の魅力を伝えている。運営するのは奄美出身者らで作るグループ「関西奄美二木会」(鬼塚三代会長)。メンバーの一人で沖永良部島出身の山元大安さんの自宅を改装したスペースは毎週日曜日に開く。

同会は、毎月第2木曜日に集まって交流し、高齢化する郷友会のお手伝いができればと結成された若手グループ。インターネットで現地と結ぶ中継イベントなど若い世代ならではの発想で、奄美のつながりを守る。ギャラリーは3カ月ごとに展示が変わる。郷土愛あふれる手作りの空間が鹿児島人の心をつなぐのだった。

エラブユリの香りを尼崎へ

毎年6月になると阪神尼崎駅前の中央公園をユリ250株が真っ白に彩る。今年で8回目になるというイベント「えらぶ百合の花フェスティバル」を主催する「関西にエラブユリを咲かそう広げようの会」会長の山本奈津子さん(写真右)に話を聞いた。

「阪神大震災の時、園田に住んでいて家屋が半壊したんです。ボランティアの人にすごく助けられて今度は私も何かお返しをしたいと思って…」と故郷の沖永良部島から特産のエラブユリの球根を取り寄せたのが活動のきっかけ、1996年から庭先で育て無料で配るようになった。「私たちのふるさと奄美に興味を持ってもらえたら」と、同郷の仲間にも呼びかけ活動がスタート。メンバーの自宅で育てたユリの切り花が無料で配られ、尼崎に沖永良部島の香りを漂わせている。