奄美の味を届けて

山羊汁、ミキ、黒糖焼酎…シマッチュの故郷の味を届けてくれる、たのもしい物産店とお肉屋さんが杭瀬の市場にあった。

銘柄にもこだわるパワードリンク「ミキ」

鹿児島物産
1968年創業、現在は大阪・神戸に4店あるが、杭瀬本店の品ぞろえは随一。栄のミキは150円。黒糖、あおさ、焼酎など奄美特産も充実。●杭瀬北新町1-12-6 TEL:06-6401-1452 8:15~18:45 木休

猛暑の奄美にかかせない「ミキ」。米とさつまいも、砂糖をまぜて発酵させたドリンクは、甘酒ともヨーグルトとも異なる飲み口で腹もちもよく、夏バテ対策の定番だという。杭瀬にある「鹿児島物産」では、メジャーブランド「花田のミキ」に加えて、黒糖味が飲みやすい「栄のミキ」なる隠れた人気銘柄も扱う。「関西ではうちだけじゃないでしょうか。お好きな方を選んでいただきたいので」と田中俊一社長(写真左)は製造元からの直送にこだわる。“鹿児島時間”とも呼ばれるのんびりとした現地との取引など、苦労も多いようだが、「やっぱりふるさとの味には、みなさんこだわりをお持ちなので」と鹿児島・沖縄の物産約700点をお店に並べる。

奄美直送 山羊肉あります。

ご主人の卓哉さん考案の「あきれす○ぽんず」は、ぽん酢で食べると、ふぐの湯引きのような食感。コラーゲン豊富な健康食としてヒット商品に。

店先ではホルモン焼き、ショーケースには色鮮やかな牛肉と豚肉が並ぶ杭瀬中市場のお肉屋さん。田渕食品の看板は何よりも、奥さんの田渕スマ子さんの人懐っこいキャラクターだろう。「奄美の取材?そら嬉しいわ。尼崎には4万人もおるからね」と忙しい接客のかたわら話を聞かせてくれた。

田渕食品
数々の芸能人が取材で来店し、テレビにもたびたび出演。杭瀬ではちょっとした有名人のスマ子さん。●杭瀬本町1-19-6 TEL:06-6481-6120 8:00~19:00 無休

名瀬(奄美市)出身の彼女は中学校卒業後、おばをたよって神戸へ。「帰省で乗った沖縄航路の船上で、加計呂麻出身のダンナに出会ってスピード結婚よ」と照れながらなれそめを話す。北大物のアパートで新婚生活を始め、1967年、杭瀬北市場で精肉店を開いた。「明石や姫路からもわざわざ買いにきてくれたり、同郷を大事にする奄美の人たちにも支えられた」といい一時期は大阪や豊中、池田に6店舗を構えるまでに繁盛した。

「山羊汁を作りたいんだけど」というシマッチュの声に応えて、奄美から山羊肉も仕入れる。大根と昆布で煮込む郷土料理は奄美では祝い事に欠かせない。「四国産はたまに見かけるけど、やっぱり奄美のは味が違う」のだという。店先でホルモンを焼きながらお客と楽しそうに話す彼女の座右の銘は「笑顔は人生の華」。こだわりのお肉とスマ子スマイルを求めて、シマッチュたちは杭瀬に足を運ぶ。