裏通りの本店が表舞台に

市内に29店もある。駅前、国道沿い、市役所やスーパーの中で、普段から目にする身近な存在。「あましん」なんて愛称で呼ばせてくれる雰囲気もローカル度満点、地域密着感がたまらない。親しみやすさは名前にとどまらない。普段何気なく訪れるお店やサービスに、尼崎に対する愛着と地域金融のポリシーがキラリと光る。地域のために頑張る尼崎信用金庫。ぼくらのあましんは、もう80年余りも愛されつづけているのだ。

生まれ変わった創業の地

阪神尼崎駅近くで寺町の南、ひっそりとした裏通りに博物館や記念館、尼崎信用金庫の各種施設が並ぶ。「尼信通り」とでも呼びたいこの一角は、創業の地でもある。創業当時の本店は「尼信記念館」として赤煉瓦の趣きを伝え佇んでいる。裏通りに本店を構えたのは「信用金庫は企業や商店の影の協力者であって、表にでるものではない」という創業者松尾高一のこだわり。支店の設置にあたって積極的に裏路地を選んだそうだ。 2001年にはこの一角に「尼信博物館(尼信会館)」がオープンした。地域の文化財を展示するスペースだ。その隣には本店別館がある。

名所貯金箱博物館

尼信通りの一番南にあるのが、世界60カ国、1万1千点の貯金箱が収蔵された「世界の貯金箱博物館」。1984年の開設以来、マスコミにもしばしば紹介され尼崎観光の定番スポットになりつつある。

熱のこもった館長の説明に、貯金箱の世界へ引き込まれる
資産運用相談コーナーには頼りになる3人の専門スタッフがいる

貯金箱を眺める客に、シブい声で語りかける湯川清和館長。「プロ野球開幕にあわせてタイガースの貯金箱もそろえてみました」

年間8回もの企画展を開催し、市内の小中学校へお誘いの手紙を送る。小学校の授業でも活用され市民から重宝される博物館に成長した。ユニークな博物館ということで「阪神淡路百名所」に選定された。来館者数は毎年増えている。かつての本店界隈が尼崎の新たな名所として生まれ変わっている。