南部再発見 堂内1周、心のケア
知る人ぞ知るディープサウスの魅力
「御自由にお入りください」
本堂入り口の貼り紙に誘われ中に入ると、奥には「仏教館」の看板、いや貼り紙が。本堂を取り巻く幅1m足らずの細い廊下が展示スペースになっている。仏教にまつわる資料や仏像が所狭しと陳列された1周20mほどの不思議な空間。阪神大物駅の南にある尼崎観音の寺「常念寺」にその館はある。
堂内にはカラオケセットが!
味わい深い表情をしたミャンマーの仏像。
平成11年に開設された仏教館。「気軽に入れるお寺にしたい」という住職瑞穂光信さんの思いで堂内に設置された。観光地でもない限り、本堂に自由に出入りできるお寺は珍しい。「仏さんの顔を拝んでもらおうと。信仰心もまずはそこから」住職のこだわりは堂内の中にもちりばめられている。
アジアの仏像コレクションや、陳列品にひとつひとつ丁寧に添えられた手書きの説明文。わずか20mの館内ながらゆっくり観賞するために置かれたソファーに住職の心遣いが。
仏教館最大の目玉は108つの「報恩数珠玉」。野球ボールほどある木製の玉が並ぶ。「手で転がしながら堂内を1周すると心のケアーに、2周すれば心の安らぎが得られます」という住職自慢のありがたいアトラクションである。
各宗派の開祖と教えを一堂に展示。堂内1周で仏教はかせだ
外からも見える尼崎観音様。挙げた右手は信仰を求めるお姿
めくるめく仏教ワールドを体感した後は、境内に光り輝く、高さ3.9mの観音様を拝みたい。阪神大震災の慰霊者を供養するため、平成13年に建立。地元の人に親しまれるよう「尼崎観音」と命名した。この他にも境内には所狭しと仏像が並ぶ。「若い人にも気軽に来てもらえるようなお寺にしていきたい」と住職は今、仏教館の増築プランを練っている。■若狭健作