アマ野球を10倍楽しく見る方法(1/3)

面白いのはプロだけじゃない。少年、高校生、サラリーマンだって野球が好き。尼の熱いアマチュアチームを紹介。

[少年野球]「スポ根」野球 地で行く少年たち小田野球

「おら、声出して行け」「下手くそ、何考えてんねんコラ」。コーチから飛ぶきつい罵声を浴びながらも、少年たちはがむしゃらに白球を追う。

実は眞殿監督(写真右)、学生時代の野球経験はない。野球と子どもたちへの愛情で33年、街の名監督となった。

少年野球チーム「小田野球」を率いるのは、33年前に初代監督からチームを任された眞殿進監督(63)。今年のチームは総勢15名、6年生はたった二人というチーム事情に「うちはきついから人気ないねん」と笑う。過去には県大会3連覇、全国ベスト8という輝かしい実績も。練習は月火木の午後5時から8時まで、土日は試合中心だが朝8時から日没までという練習量を誇る。

眞殿監督が作ったルールがある。通称「小田弁」と名付けられたお弁当の決めごとは、おむすびは具なしで海苔はNG、魚はメザシやシャケに限る、卵はダメ…云々。軍隊のような厳しい規則は、炎天下でも腐りにくい弁当を、という理由もあるが、弁当で子どもたちに差がつかないようにという監督の心遣いだ。

ユニフォームは代々受け継がれ、色褪せた生地や背番号もバラバラなのも気になるが、「家庭の事情で野球でけへん子がおるとかわいそうやろ」と、新品を買わせるのではなく、卒団した先輩のお下がりをチームで着まわしてきた。

現在、市内に小学生の軟式野球は50チームあるが、名物監督とともに、元祖スポ根を地で行く「小田野球」から目が離せない。


楽しく見る方法

差し入れでも持って行きたくなる気持ちをグッとおさえて、影からそっと見守るのがおすすめです。

最近少年野球の魅力にとりつかれつつある本誌・香山明子。