神主のぶらり街歩き
連載第11回 きふね寄席へぶらり
「宮司さん、前より太られましたね」。久しぶりにお会いする人の第一声。「そうなんです。ウォーキングをさぼってばっかりで」と私。反省してはみるものの…。今回は私自身が歩かずして、皆さんに足を運んでいただこうと「きふね寄席」のご紹介です。
きふね寄席とは、昭和62年に出屋敷界隈の世話人さんと故桂文紅さんが地区会館などでお始めになられた「でやしき寄席」が前身の落語会。翌年の5月に特別例会として貴布禰神社で開催され、平成4年10月にきふね寄席として独立しました。桂文紅さんの逝去後は、笑福亭三喬さんが文紅さんの遺志をお継ぎ下さり、年に2回(5月と10月)開催してきました。
協賛金集めから会場設営まで、地域の世話人さんが主体となって運営されているのが特徴です。お客さんの数も最近は150名を超えることがしばしば。会場である社務所の大広間でも間に合わなくなりつつあるほどです。
そしてお客さんからの「もっと回数を増やして欲しい」という要望にお応えし、今年から年に3回開催することになりました。これまでの2回に加え3月にも開催。しかも開演時間をお昼にしたことで、これまでと違う層のお客様にもお楽しみいただけました。
実はこの寄席で私が一番楽しみにしているのは、中入り後の宮司挨拶。日頃は参拝客に笑って頂こうといくら努力をしても笑って頂けないのですが、このときの挨拶ばかりは何を話しても大受けです。「宮司さんのお話しが楽しみで…」なんて帰り際に言って頂くと、もう完全に有頂天。落語会での挨拶は“カ・イ・カ・ン”なのです。
第34回きふね寄席は5月16日午後6時開演。三喬さんはもちろん、桂雀々さんなどが出演なさいます。ぜひ足をお運び下さい。えっ、前号の結果は?って。当社の繁盛を戎神社で祈願しましたが、「貴布禰大神 繁昌亭」建設までは当分、えべっさんのお力も必要なようです。
江田 政亮 えだ まさすけ
だんじり祭り、地域寄席…いつでも尼崎人にオープンな南部のお社きふねさん(貴布禰神社)第17代宮司。「国道43号線にだんじりを走らせたい」と南部再生への想いは日々強まる。