ココにもあったまちから発信「メイドイン」
ウチの名物は人口衛星 「東大阪宇宙開発協同組合」東大阪市
町工場のおっちゃんたちが人工衛星を打ち上げる-。そんな夢のプロジェクトが話題になっている。
主役はその名も「東大阪宇宙開発協同組合」。尼崎と同じく、高い技術力を誇る中小企業が集まる東大阪市の10社が参加。最初の“作品”となる「まいど1号」は、2005年度の打ち上げを目指して準備が進んでいる。主目的は小中学生の教材としての利用。音声や画像を使って、人工衛星と地上の子供たちが「会話」する。
「いま地球の表面温度は?」「地球の裏側に来たよ」-。そうやって地球環境や宇宙に興味を持ってもらおうという狙いだ。
「宇宙って子どもの夢でしょ。自分らの技術で実現すれば親しみを持ってもらえる。東大阪を好きになってもらうきっかけ、打ち上げ花火みたいなもんですわ」
組合理事長で航空機部品メーカーの社長、青木豊彦さんが豪快に笑う。「まちに元気を」と計画を発案し、大学に協力を呼び掛け、実現可能なレベルまで引っ張ってきたリーダーだ。「まいど1号」の名は青木さんの口癖から付いたのだという。
「民」のパワーに国なども注目。小泉首相は国会演説で取り上げ、雷の発生を予測する第2号の構想は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の協力を得た。青木さんらの願いは、東大阪を宇宙産業の拠点にすることだ。
「注目が集まれば東大阪のブランド力も上がる。そうなれば将来は製造業も商業も一緒になって『東大阪百貨店』いう店もやりたいね。東大阪のもんやったら何でも買えるお店を」
まちの夢を原動力に宇宙へ飛ぶ人工衛星。それは「元気出そうや」と日本中に向けたメッセージでもある。
発掘!灘モノ大見本市 「灘印良品」神戸市灘区
「灘モノばっかり集めた店があったらオモロいやろなあ」
昨年3月、神戸市灘区の水道筋商店街に出現した1ヵ月だけの期間限定ショップ「灘印良品」。それは灘区をこよなく愛し、オモロがるメールマガジン「naddist(ナディスト)」の読者ネタから始まった。「最初は食べ物の話やったんです。灘のマヨネーズとかソースとか、『あれが旨い』『こんなん知ってる?』という情報がいっぱい来たんで、いつか店をやろうと話してたら、商店街の空き店舗事業で声をかけてもらって…」
メルマガの発行人で、ショップの火付け役で、経営者で、販売員でーつまり「灘印良品」のすべてを一手に引き受けた慈(うつみ)憲一さん(37)が楽しそうに振り返る。ふだんは仕事も住む地域も異なる会社員や大学生らが「灘が好き」という一点だけで集まり、準備に奔走した。
「準備期間がひと月しかなくてね。顔の広い地域の人に同行してもらって企業やお店と出品交渉したんですけど、アヤしまれたりして(笑)。あれはさすがにキツかった」
そのかいあって、店にはお茶におかき、ソースといった食品だけでなく、製鋼会社のステンレスたわし、製麻会社の麻製バッグなど「メイドイン灘」な品が42種類、さらにnaddistオリジナルのバッジやステッカー、テディベアなど「灘マニア」な品が50種類もひしめき合った。しかも市価の平均2、3割引き。
「珍しいのと安いのとで予想以上に売れましたね。メルマガなんかに縁がないお年寄りが『これおいしいわ』ってリピーターになってくれたのがいちばんうれしかったな」
ちなみに売り上げベスト3は、●神戸で唯一、手焼き製法を守っているおかき●飲み屋などの業務用に卸すナッツ缶●お好み焼き屋御用達の業務用ソース。
実は慈さん、「灘印良品」の常設ショップ化を構想中。新たな目玉商品の発掘や物件探しに余念がない。「例えば、レトルト製法の技術を持っている会社にお願いして、地元の飲食店で評判のメニューを売り出すとかね。そんな橋渡しもできればと思ってます」。目標は1年後の開店だそうだ。
特集後記
見えない部分にまで凝らした工夫、苦労。きれいに仕上げられた製品からは、およそうかがい知ることのできないお話を聞いて廻りながら過ごした数ヵ月。不思議なもので、食べるものはよりおいしく、使うものはよりいとおしく感じるようになりました。■T
メイドインアマガサキカタログが完成しました。中央三和出屋敷商店街の各所、尼崎信用金庫中央・三和・出屋敷各支店、尼信博物館、世界の貯金箱博物館などで配布中。