サイハッケン みんなの心のよりどころ

長く住んでいるまちにも意外と知らない魅力はまだまだあるもの。「へえ~こんなところもあったんや」という目からウロコの再発見!尼崎南部、ディープサウスの魅力をご堪能ください。

週末になると市外からもアミーゴたちが集まる

友人をこの店に連れて来るたび「え~ここなの!?」と驚く。ここ「庄本商店」は、一見普通の酒屋さん、でもブラジル国旗の看板が掲げられているのに気づく。「ん?なんだろう」と思うはず。どんなブラジル料理屋さんを想像して来たのかは知らないが、一様にみんな拍子抜けする。逆に、普通の店構えとブラジルショップのギャップに「お、いいね!」と良さを見出す変わり者もいる。でもそんな人のほうが店に入ってからもうまくいく。「うまくいく」とは…。

「ボア・タールデ!元気?」

この店に来たら、お客さん全員と挨拶するのがマナーだ。お客さんはほとんどが日系ブラジル人。こんなときには尻込みせず、こちらからどんどん話しかけていこう。すると彼らも話しかけてくれる。ただ単に食事をしに来るのではなく、ブラジル人との何気ないコミュニケーションも楽しむ。そんな店なのだ。彼らは出稼ぎで来日。10年以上の長期滞在の人が多く、日本語を話せる人がほとんど。尼崎周辺の工場で働き、仕事帰りにめしを食いに来る、というのが彼らの日課。ここに来ればブラジル人の仲間もいる。ブラジル料理を食べビールを飲み、トランプゲームが出来る。そう、彼らにとってはなくてはならない憩いの場なのだ。

「近所にブラジル人が増えてるのに気づいてね、みんなが集まれる場所があったらええなあと思ってん」。さも簡単そうに店の経緯を話すのはこの店の顔と言うべき大島奈緒子さん。

この人なしに店は語れないほどの存在だ。誰とでも打ち解けられる陽気な性格と、異国の地での生活のこまごました相談にも乗ってくれる、ブラジル人にとって頼れるお母さん。彼らの間では「ナオコの店」と呼ばれているくらいだ。奈緒子さんの作る日替わりのブラジル家庭料理もぜひ一度食べてほしい。食後にコーヒーを飲めば、この店の雰囲気にきっとまた来たくなるはずだ。■北原知也


LOJA DA NAOKO(ナオコの店)
庄本商店

昭和通 1-13-10
06-6481-3906