日常まち歩きの心得 町並みとのコミュニケーション《イメージのキャッチボール》

住んでいる町、通勤・通学路に買物ルート。毎日の空間だからこそ楽しまないと!!

まちが発信するイメージをつかめる様になると、まち歩きが楽しくなってくる。取っ掛かりには店の並ぶ通りを選ぶといい。通りに面したお店の外観からは、通りすがる人の購買意欲をかき立てるイメージが発信されているからだ。女性・男性、子供・若者・お年寄りーどういう人々がターゲットか。格好よさ・かわいらしさ・高級感 ― どのようなテーマをアピールしているかを読み解く視点が大切。

植物を置いたり木の素材を使って自然な優しさを伝える。ガラスを沢山使って清潔感や開放感を伝える。壁の色や素材感、照明の色や演出によっても与えるイメージは全然違う。

ショーウィンドウを使っての商品のディスプレイやレイアウトもイメージづくりに欠かせない要素。値段などの表示を年輩の方に配慮して大きく見やすくする、子供向けに漢字を使わない、横文字で大人っぽくと表示情報も重要だ。他にも入口を開け放つ事やガラス張りにする事で入りやすさをつくったり、その逆に、入口を締めて壁で囲んで見えない内部への興味を掻き立てるといった心理的な要素や、パンを焼く香ばしい匂いやおもちゃの動く楽しげな音など、通る人の五感をかき立て、中に入ってみたい気分にさせる。

建物の中ではトイレが面白い。おしゃれな飲食店では必ずトイレに入れ、というほど機能面以外での注目も高まっている。椅子やソファー付きの豪華な化粧直しスペースは少なくとも女性をターゲットにしているといえる。男性用トイレへのベビーベットの進出もご時世を反映しているのだろう。

厚く高い塀。塀の上から覗くミカンの木。これが朝露のキラキラ光る生け垣だったらどんなだろう。店鋪でなくても道行く人に何らかのイメージを与えている。自分の家も他の人にとっては景色の中の一要素。あなたの家はどういうイメージを発信しているだろうか。


北尾 琴(きたおこと)
1975年神戸市生まれ 武庫川女子大学 生活環境学部 生活環境学科 建築都市設計学研究室助手