フード風土 39軒目 ビアガーデンTHE MIYAKO

よそ行きの「グルメ」じゃない、生活密着の「食いもん」を探して、アマを歩く。
取材・文=松本創(本誌)

ビアガーデンの夏、尼崎の夏

「金鳥の夏、日本の夏」という昭和を生きた人間なら誰もが脳裏に刻むフレーズは、蚊取り線香の衰退とともにあまり聞かなくなったが、同じ〝昭和の夏〟アイテムでも「ビアガーデンの夏、尼崎の夏」は、今まさにホットなブームなのだという。

ビアガーデンと言えば、蒸したビルの屋上、しなびた提灯、冷めた揚物、カスカスの枝豆…サラリーマンが空元気で集う、哀愁の昭和イメージに堕していた。この旧態を一新し、人気を集めているのが、都ホテルニューアルカイックの前庭に登場して3年目のビアガーデン[THEMIYAKO]である。

入場料4000円で飲み放題・食べ放題。フードは和洋中で常時60種類。週末は8月いっぱい予約満席とか。

行ってみて驚いた。まだ明るいうちから老若男女の行列。バルイベントのように多彩なフードテントが並び、お酒もビールは当然、ワイン、カクテル、焼酎に日本酒、ソフトドリンクまで180種類。賑わうテーブルの間を、カウガールハットにホットパンツの娘さんたち(バドワイザー・アンバサダーという)が、にこやかに行き来している。

若者も女性も家族連れも楽しめるフード&リカーのワンダーランドといった風情だが、実はこのプロジェクト、3人のキーマンがいた。全員おじさんだ。

「もともとは、ビアガーデン好きだった前任の総支配人の一声で始まったんです。が、試験的に2週間開いた2010年の夏は鳴かず飛ばずで…」と語るのは、マーケティング&セールス部長の山本哲也さん(52)。

その反省を踏まえ、刷新に乗り出したのが山本さん。若い女性部下を引き連れ、各地のビアガーデンを飲み歩き…いや視察した。そして「自分が行きたくなるビアガーデン」を思い描き、具体化していった。

尼崎と縁深いキリンビールの協力を取り付け、デザートやドリンクを充実させ、バド娘は地元中心に募集。最後の決め手に腕利き料理人を呼び寄せた。系列ホテルで「肉の達人」と称された寺田総料理長。彼の全面協力で本格鉄板焼きが実現した。

前総支配人、山本さん、総料理長の〝三本の矢〟による新しいビアガーデンは、あっという間に市民の支持を得た。

ステーキ、イカ姿焼き、ムール貝、ハモ、飲茶におでん…。皿をアテで埋め尽くし、酒の列に並ぶ。「お待たせしました!」と元気よくジョッキをくれたのは「ミスター・ビアガーデン」山本さん。額に汗が光っていた。


39軒目 ビアガーデンTHE MIYAKO

昭和通2-7-1
TEL:06-6488-4777
都ホテルニューアルカイック内
平日18:00~21:30 土日祝17:30~21:00
9/29まで無休