山合わせを100倍楽しく観るQ&A
気になってたけど聞けなかった山合わせのルール。知っていると100倍楽しい、勝敗秘密や裏事情をご紹介。
勝敗はどう決まるの?
向き合った2基のだんじりが、ウイリーのように後ろのコマだけで立ち上がり、そのまま正面からぶつかり合う。前方にツノのように突き出した肩背(かたせ)と呼ばれる棒を上に載せた方が勝ちというルールは「指相撲みたいなもの」と言うのが分かりやすい。各対戦は15分の制限時間があり、だいたい3~4回ぶつけ合って上を取った回数が多い方が勝ち、となる。勝敗の行方は傍目には分かりにくく、「えらいやっちゃ」と喜んでいる方が勝ち、と覚えておくとよい。
驚愕の新事実!
勝敗表を誰一人として記録していなかった!
事前にくじで選んだ対戦表に沿って、各町4回ずつ山合わせをおこなう。昨年の雪辱に燃える町や、宿命のライバル対決に盛り上がる町などその心中は様々。しかし、この勝負に審判はおらず、「○○町の勝ち」というようなジャッジを下すことはない。多くの観客が見守る中、勝敗を決するのは、その場が持つ独特の空気。対戦結果を誰かが記録するわけでもないが、街の記憶が山合わせの大一番を語り継いでいるのだ。
一番強い町は?
「そんなもん、うちに決まってるやないか」と叱られそうだが、そこは勝負事、過去の対戦成績を知るだんじり通に聞いてみた。「そら中在家ですわ。だんじり自体のバランスがええし、昔から上手い」と本命に推す声。「いや、最近は御園ちゃうかな。若くて勢いがある。ここ数年でえらい強なった」と次世代を予感させる声も。ここでは全8町それぞれの特徴を紹介しよう。
中在家
尼崎城主から曳き出しを言い渡された最古参のだんじり町。どの町もこことの対戦は身が引き締まるのだとか。
北出
2番目に古いだんじり町で注目すべきは彫物。彫刻界の名門・相野一門の仕事は、平成21年に金剛組によって改修。
西櫻木
近年会員数の減少が続いていたが、ここ数年で新加入も増え、古豪復活にかける意気込みに注目。
東櫻木
城下の雰囲気を今も伝える寺町にある町は、現在40才代がトップを務め、中堅と若手が融合した機動力に期待。
新三和青年團
ベテランから若手まで世代を超えたスクラム力が魅力。昨年新調されたばかりのだんじりで、今年の当番町を務める。
西町
昨年大改修を終えて今回がお披露目の舞台に。50才前後のベテランが未だ現役で山合わせに挑む円熟の技に注目。
御園町
30才前後の気力・体力ともに充実したメンバーによる勢いは「最強」の呼び声も。型破りな戦法で度肝を抜く。
南出
8町の中では保存会への加入が最も新しい。平成12年に西町から譲り受けただんじりで復活を果たした期待の新星。
注目の一戦
【取組1回目】新三和青年團×西町 新調だんじり対決
【取組4回目】中在家×御園町 新旧実力派対決
人気の花形ポジションはあるの?
2トンを超える巨体を自在に操るために求められるのは、各町のチームワーク。山合わせのメンバーは30人から40人くらいと言われる。今回本誌はそれぞれの配置についての取材を試みた。より親しみを持って山合わせを観てもらえるよう、主要なポジションに注目して、その仕事ぶりを解説しよう。
驚愕の新事実!
昔は山合わせでも屋根に人が乗っていた!
今回だんじり男子たちに「憧れのポジション」を聞いたところ、その多くが「屋根の上」と答えた。かつて事故があり、現在は山合わせで屋根の上に人を載せるのは御法度となっているが、「前と後ろの情報をそれぞれに伝える伝達役で、山合わせの鍵を握る役割だった」のだとか。サッカーならMF、といったところか。
驚愕の新事実!
血の気の多い男子は献血でも活躍していた!
荒々しいだんじり男子たちは毎年年末になると貴布禰神社の境内に集まり、歳末の献血キャンペーンにも協力している。その組織力で毎回100人以上が参加する。生きのいい健康な男子たちの血液が世の中の役にも立っていたのである。また「火の用心」と防火活動にも熱心。彼らの知られざる活躍に注目したい。