ノスタルジック・アマ iNdustrial Runabout iN AMG
マシンが駆け抜けるマテリアル空間
そこに乗り入れた途端、それまでのものとはまったく異質の光景が広がっていた。街とも田園とも峠とも海岸とも異なる空間・彷徨える工都とのファーストコンタクトである。だが、そのマシンは、思ったかもしれない「やっと帰ってきた」と。音、匂い、そして目前にあるものが、無声で歓迎してくれている。
背後から襲いかかる重厚でいかめしいマテリアル群
眼前に広がる艶めかしくも穏やかな水の流れ
その水面に映し出される夕陽の煌びやかな光彩
それらが織りなす絶妙のコントラスト
高純度の原風景
マシンはインターフェイスとして、乗り手と周りの空間凡てを、ボーダーレス化し、調和させていく。その瞬間、マインド・ライディングの境地が斬り開かれる。乗り手は、ただただ少し先の未来に自分をオーバーラップさせていくだけでいい。後は、マシンの本能の赴くままに駆けるだけなのだから。
その姿が、違和感なくシーンの中に溶け込み、その存在感を消しつつも、美しくあることができるインダストリアル空間、尼崎。マシンが、マシンとして最も野性的であることができるマテリアルの楽園、尼崎。
尼崎にはなんとも二輪のマシンが似合うのである。
山碕 猛(やまざき たけし)
1978年金沢市生まれ。関西学院大学大学院総合政策研究科修士課程1年
Trying to be iNdustrious