神主のぶらり街歩き 連載第4回 寺町が気になる

健康のため、ウォーキングを始めた。でもただ歩くだけでは面白くない。そこで、神主の目でまちを観察することにした。

「尼崎の名所はどこですか?」と聞かれたとき、一般的には「近松公園」や「寺町」と答える場合が多いと聞く。

そこで今回はその「寺町」を歩いてみた。神主が寺町を歩くというのも不思議な光景だが…。実は寺町と貴布禰神社は縁が深い。というのも、初代尼崎藩主の戸田氏鉄が新しい城の築造に着手した際、中世以降の尼崎町や城地にあった寺が集められて寺町が形成された。その時、貴布禰神社も中世尼崎町の総社として、もとは現北城内北西部にあったものを、西屋敷役人町(現西桜木町)に移転させられたからだ。【正徳5年(1715)に城下西端(現在地)に移転】。つまりともに尼崎城築造の影響を受けた寺社なのだ。

現在、寺町には11カ寺が軒を連ねる。が、その多くは門を閉ざしているか、本堂の中をうかがい知ることができない。自由に境内を散策してよいのかどうかも分からない雰囲気だ。「尼崎の寺町は観光目的ではない」とする人もおられるが、尼崎の名所として観光客に案内している以上、その対応を迫られるべきだろう。

こんな案はどうだろう。開明小学校跡が市役所の出先機関(中央支所)となった。また寺町近辺には尼信記念館、櫻井神社、尼崎戎神社、貴布禰神社などがある。これらの資産を活かすため、中央支所に尼崎城などの展示場をオープンさせる。そしてここを出発し、神社や寺町を歩いて“古きよき尼崎”を体感してもらうプラン。もちろん、おもろい地元住人のガイド付きだ。

また、お寺や神社で癒される人が多いとも聞く。“あの尼崎南部ですぐ行けるヒーリングスポット”として寺町界隈が注目されるのも面白くはないだろうか。そして十分に癒された後は、商店街でお食事やお買い物。「せっかく癒されたのに、それ以上に疲れが出ました」なんてことだけはないようにしないといけませんが…。


江田 政亮 えだ まさすけ
だんじり祭り、地域寄席…いつでも尼崎人にオープンな南部のお社きふねさん(貴布禰神社)第17代宮司。「国道43号線にだんじりを走らせたい」と南部再生への想いは日々強まる。