叫べ!まちの市場たち ICHIBA CALLING 第5回 立花市場

空いたら埋めろ。市場に新規出店を!

入り口への新規出店に期待が高まる

商店街のお店の間を抜けると市場につながる

本全国の市場が抱えている大問題。それが空き店舗。場所が空いたら埋めればいい。しかし、それが難しい。人通りの少なくなった市場だからこそ空き店舗ができ、空き店舗があるからよけいに客足が鈍る。客の少ない市場には新たな店が入らない。悪循環だ。しかし、アマにもあった。「新陳代謝」の良い市場が。

JR立花駅前の立花市場。入口には、まだ新しいケーキ屋さん。いわゆる「市場」とはちょっと違う、華やかな雰囲気をつくっている。2、3人が横に並べばいっぱいになる通路を進んでいくと、肉屋や花屋、練り物屋、文房具屋などお馴染みの店舗が並ぶ。数は決して多くないけれど、シャッターが閉まったままのところは確かに少ない。

「とにかく空き店舗を出さんように、組合で協力してるんや」と教えてくれたのは、組合理事長の練り物屋店主、田中治二さん。空き店舗になったところを組合の予算で借り上げて出店者を探したり、隣の店が壁をぶち抜いて売り場を拡張したり。そのかいあって、市場の「顔」となる入口には前述のケーキ屋が3年前に、もう一方の入口にはお好み焼き屋が昨年オープンした。創設50年以上もの古い市場が、一気に若返ったように見える。

しかし、市場離れしてしまった客の心を引き戻すのはなかなか難しい。お好み焼き屋店主の村山さんは「僕は地元が立花やから、ここで初めての商売ができるのはうれしいし、心強い」といいながらも、「こんなに厳しいとは思ってなかったわ」と思わずポツリ。それでも、まだ一歩を踏み出したばかり。香ばしいソースの香りと心地良く響くコテの音が、勝負はこれからや!と言っている気がした。


立花市場


ほうじょう みよ
1985年生まれ。大阪府茨木市で太陽の塔を眺めながら育った大学生