地元民だけが知るアマの抜け道 マル秘サイクルロード
西部をぐるっと120分。アマガサキウエストループ
「中国に来たのかと思った」。
タイから尼崎に嫁いできた、ある主婦がアマの商店街を見て発した一言。それだけ自転車が多いってこと。尼崎は地形が平坦だからとか、体脂肪が燃えるとか、そんなことはいちいち言わなくても、このまちでは圧倒的に自転車が支持されているのだ。
もちろん、環境に優しいのはお墨付き。最近ではヨーロッパにならって、全国各地で自転車道の整備が声高に叫ばれているが、地元サイクリストやママチャリストは、すでに快適な道を知っていた。
斜めの道(水道道)をいけ 自動車一方通行の抜け道
碁盤目に整備されたまちを、ナナメに走る一本の抜け道。水道道(すいどうみち)と呼ばれるこのルートは、地下に水道管が走る昔からの道。タクシーの運転手にも「アノ斜めの道」で通じるほどだ。一方通行だから、一方向からの自動車に気をつければ、スイスイと走れる。朝夕には通勤や通学で多くの自転車が行き交う。
阪急電車七松線踏切~西武庫公園(距離3km 所要時間30分)
桜の名所として知られている交通公園には、交通マナーを学べる教習所のようなスペースがある。
富松公園にはトイレが完備。休憩に最適。
庄下川で思わず立ちこぎ 自動車に遭遇しない専用道
尼崎の中心を南北に流れる庄下川の遊歩道。北部住民が「ちょっと三和へお買い物」という時に使ってもらいたいルートだ。自動車が進入できない聖域をいく。これぞサイクリングの王道。JRの高架下の狭い通路では、前から来る自転車に「こんにちわぁ」と微笑みながら行き違う。商店街のある尾浜界隈では、釣りや散歩を楽しむ姿に心が和む。親水公園や緑地帯、庄下川の水辺をながめ、ペダルをこぐ足も軽やかに。
庄下川水門~阪急電車七松線踏切(距離5.1km 所要時間30分)
釣りを楽しむ人々でにぎわう尾浜付近。「なに釣れました?」と声をかける散歩人もちらほら。ゆったりとした時間が流れる。
お腹が減ったら尾浜商店街に寄り道。コロッケほおばり、自転車を走らせる。
だんじりとイケメン宮司でおなじみのきぶねさん。交通安全も祈願。
ゆずりあいながら、JRの高架をくぐる狭い通路では、人とのふれあいが。
サイクリングのメッカ レジャーにも重宝の河川敷ルート
自動車なし、信号なし、空気はよし。サイクリングスーツをまとった本格派も、ウォーキングでダイエットの奥さま達も武庫川河川敷が大好き。自転車のわだちが残る地面と武庫川からふく風が心地よい。西宮に架かる橋や高架を目印に、サイクリングには最適のルートだ。休日は堤防道路も遊歩道になる。
西武庫公園~阪神武庫川駅(距離5.3km 所要時間30分)
河川敷にぽつねんとたたずむお地蔵様。散歩途中にお参りする人々の姿もちらほら。
モダニズムがあふれる橋は、河川敷から眺めるのがベストビュー。
ヨン様…じゃなくてヨンサンも 広い歩道は魅力的。ただし空気は…
関西の大動脈、国道43号線。自動車の排気ガスからサイクリングには適さないと思われているが、騒音緩衝帯としての歩道約10mは自転車道には申し分のないスペースである。南北の幹線を渡るわずらわしさなど、改良点は多いが、自転車道の可能性は秘めている。
阪神武庫川駅~庄下川水門(距離3.4km 所要時間30分)
秘密の抜け道探してママチャリの後を追え!
愛用のママチャリで市内を走り回った。実はこれ、平成13年に尼崎市が募集した市民で作る「サイクル都市研究会」での取り組み。自転車道としての可能性を秘めた道をチームで探した。ママチャリや通学の自転車を追跡すると、思わぬ抜け道が発見できるものだ。(疾走する市民研究員)