南部再発見 ビールのまちのお土産に
知る人ぞ知るディープサウスの魅力
お店の営業時間は8:00~23:00。店主の北和子さんが作る季節の野菜を使った日替わりランチはコーヒー付きで700円
観光地へ行くと、饅頭やせんべいなどの菓子、ご当地の名を冠した酒などが土産物屋の軒先を飾っている。
観光地というには程遠い尼崎。しかし、ここにひっそりご当地のものがある。JR尼崎駅のすぐ北側、ラ・ヴェ-ル尼崎にある「カフェサロンはなみずき」。ここで地ビールが入手できる。店先には、世話の行き届いた花が飾られ落ち着いた佇まい。昼下がりのゆったりとした時間の流れる中、店主の北和子さんに話を聞いた。
ビールの名前は、店名と同じ「はなみずき」。これは尼崎市の木でもある。ビールというと、小麦色のラガータイプが一般的だが、こちらは黒いブラウンビール。それも麦芽100%、明治の森箕面国定公園山系の水を使用したという天然物だ。飲んでみると、香ばしさがあり、程よい苦味があとを引く。
かつて、尼崎は駅前にキリンビールが工場を構えるビールのまちだった。工場が移転してしまったとき、北さんはまちの特徴が減ったような気がしたという。「尼崎はお土産になるものがないってよく言われるでしょう?だったら、自分でつくろうと思って」地ビールづくりを思い立った。しかし、生産しているのは箕面。請け負ってくれる工場がなかったからだ。「でもね、尼崎の水はおいしいから」将来はここでつくる構想もある。確かに、尼崎の水道水は高度浄水処理されたものであり、浄水器いらずで水が飲める。名実ともに地ビールになるにはまだ時間が必要だが、「それまでにたくさん宣伝しておかないとね」。笑いながら、もう一杯ついでくれた。■綱本武雄
尼崎地ビール「はなみずき」
330ml瓶1本500円。ひと味違う甘みとコクを楽しむならこの値段は仕方ない?