サイハッケン 行列のできるお不動さんがあった。

長く住んでいても意外と知らないまちの愉しみ。「へえ~」と目からウロコの再発見!
ディープサウスの魅力をご堪能ください。

買い物帰りの奥さんや近くの商店主などが毎日お参りに訪れる。お賽銭は毎年どこかへ寄付しているとか

朝から晩まで線香が絶えないお不動さんがいるらしい!という情報を聞きつけ、いざ新三和サンロードをちょいと外れたところにあるうわさのお不動さんへ。近所の人の話によると、「よう人が来てるわ~」「遠くからわざわざ来てる人もおるでー」「毎朝通ってる人もおる」「若い子が来ることもあるわ」と熱狂的な愛されぶり。なるほど~。お不動さんが祭られている周辺に漂う濃厚な線香の匂い。ひっきりなしに人が訪れているようだ。

こっそり張り込んでいると…般若心経を唱えるおばちゃんに、拝んだ後お不動さんのあちこちを手で撫で回すおじちゃん、線香の煙を自分の体にかけるおばあちゃん、ひたすら拝むおばあちゃん。「ここ、よお通るからなあ。だから、拝みに寄るねん」と近所の豆腐屋さんのおじちゃん。「何か力をもらえそうな気がするねん」と買い物帰りに、たまに拝みに寄るというおばちゃん。

お不動さんは、現在管理している白井さんの前に住んでいた人が、どうやら修験道修行者で持っていたらしいのだ。その人が引越しする時に、お不動さんを置いていき、白井さんが「もったいないから」と引き継いで管理しているそう。

拝みに来ている人は、お不動さんのご利益やいわれを知らない。ただ「何でも叶う」お不動さんとして、口コミで広がっているらしい。

お不動さんの豆知識

眼光鋭く、右手に宝剣、左手に綱を持った不動明王像。恐ろしい姿をしているが、実は宇宙の最高神である。そのくせ、お地蔵さんと並んで、お不動さんの信仰ほど、市民の生活に溶け込んでいるものはない。■村松 一



駐車場と白井さんのお宅の間にひっそりとたたずむ祠(ほこら)。周りは住宅地なので、そっと訪ねてお参りを。


小森利絵●こもりりえ
1982年生まれ、尼崎在住。フリーペーパー「れもんのき」発行人。