街を歩けば銭湯だらけ 尼崎に銭湯はいくつあったのか?

市内に銭湯は一体いくつあったのか。県浴場組合の名簿を元に過去の数字を拾ってみた。最も古い名簿が昭和17年のもので、尼崎支部には85軒が名前を連ねていた。その後戦争により、昭和21年には56軒にまで減ったが、わずか10年で87軒にまで回復し驚異的な「戦後復興」を遂げたのだった。さらに人口急増に伴い、昭和45年にはおよそ2倍の162軒に。その数は現在市内にあるコンビニの数(130軒)をはるかに上回る。この時代をピークに、その後はオイルショック、阪神大震災と銭湯を取り巻く環境は厳しく、じわじわと減少を続け、現在は56軒に。

下の分布図からも分かる通り、JRよりも南の地域に集まっているのも特徴だ。「労働者の街」として発展した尼崎で、銭湯はまさに庶民の暮らしを支えてきたのだった。往時の「銭湯王国」ぶりはかげりをみせるものの、現在県全域で162軒ある銭湯のおよそ3分の1を占めているというのも、時代を越えて愛され続ける尼の銭湯のたくましさを証明しているではないか。