ノスタルジック・アマ 尼崎信用金庫 世界の貯金箱博物館

学生さんがとらえた尼崎。若い世代のノスタルジーがここにあります

ささいな思い出じんわり

世界でも最大級の貯金箱博物館。60カ国の貯金箱約1万点を収蔵、常時約2,500点を展示しています。場所は西本町北通。開館時間は毎週火曜~土曜 10時~16時。入場無料。

家庭に1つはあるものベスト10入りは確実。郵便局や銀行でもらったけれど、自分のためとしてはあまり買わないもの。それが貯金箱。今となっては「後ろに穴があいた置物」と化しているけれど、昔は「ほしいものを買うためにお金を保管するもの」以上の存在感があった。無駄づかいの魔物からのまもりがみでもあったし、お金を貯める楽しみを見つけるいいおもちゃでもあった。私達とお金がどういうつきあいをしていくべきなのかを教えてくれる先生だった。

からくりが楽しくて、繰り返し繰り返し底から取り出しては小銭が吸いこまれる瞬間を見つめていた事。これだけあれば欲しかったものが買えるのに、貯金箱を割るのが嫌で買うのをあきらめた事。貯金箱博物館は、そんなささいな思い出がじんわりあふれてくるところ。

あの頃はレコード1枚買うためにおやつを我慢し、おもちゃも我慢し、手が真っ赤になるまで肩たたきもした。重くて重くて落としそうになる貯金箱を大事に抱え、お店まで全速力。自分にもできたという誇り、夢がもうすぐ叶う期待、小銭一枚一枚の大切さ。それらもすべて貯金箱に貯めて、お店まで全速力。貯金箱博物館は、軽いカードでは気付けない両手に感じたぬくもりを、思い出させてくれるところ。


井後 三千代(いご みちよ)
1980年7月30日徳島県生まれ 関西学院大学総合政策学部3回生 現在買ったばかりの一眼レフに夢中