神主のぶらり街歩き

連載第22回 中学校の卒業式をぶらり

3月といえば、卒業の季節。皆さんにも様々な思い出がおありのことだろう。私の場合、中学から大学までエスカレーター式の学校だったので、友人と離れ離れになってしまう寂しさを感じた卒業式はほとんど経験しなかったが、それでも長い年月を過ごした校舎や、小学6年生がピークだった私の学力を一生懸命支えてくださった先生方との別れは悲しいものがあったことを覚えている。

社会に出てから卒業というセレモニーを経験することは無くなった。私の場合、仕事でも定年がないため、終わりのない人生を歩み続けていることにもなる。そこで、保護司をさせていただいているご縁でお招きいただいた近隣の中学校の卒業式を“ぶらり”し、久々に卒業の気分を味わってきた。

約2時間近くの式典だったが、印象的だったのが、生徒の皆さんのキビキビした動きだ。起立や礼、着席、また座っている時の姿勢など、すべてが地域の誇りと思えるほどの所作。おそらく、保護者や来賓の皆さんも子供たちの成長を実感した瞬間だったと思う。卒業証書を受け取る生徒たちも、それぞれ3年間を振り返りながら様々な表情を見せてくれた。

ところで、中学校の卒業式は義務教育の終着点でもある。校長先生は式辞の中で「あなたたちは守られてきたこれまでと違い、混沌とした政治や経済、社会の荒波の中に出ていく。自分の責任でしっかりと新しい道を歩んでください」と話された。これから先、実際にその厳しさに出会ってしまったときには、校長先生の言葉を思い出してほしい。

そして、在校生による送辞と歌、続いて卒業生による答辞と歌だ。これまで悲しみをこらえていた卒業生たちも、在校生や恩師、そして保護者を前に歌いだすと、涙を流しながらの合唱となった。卒業生約150名にとって中学校生活で最後の大切な日。それぞれに良き思い出となる卒業式だったと思う。

さて、卒業式から帰宅した私。まずは身近なところからということで“メタボ”からの卒業を目指してウォーキングを再開した。病気の荒波にもまれないためにも、薬に頼らず自分の責任でしっかり道を歩むぞ~!


江田 政亮 えだ まさすけ
だんじり祭り、地域寄席…いつでも尼崎人にオープンなお社きふねさんの第17代宮司。「国道43号線にだんじりを走らせたい」と南部再生への想いは日々強まる。ラジオ番組「8時だヨ!神さま仏さま」(FMあまがさき毎週水曜日夜8時~)も好評放送中。podcastも。