神主のぶらり街歩き

連載第19回 宗教通りをぶらり

尼崎の名所というと、近松公園や寺町が挙げられる。寺町といえば、元禄3年(1617)の尼崎城築城に際し周辺に点在していた寺院が集められ、今でも11ヶ寺が軒を連ねる。

その寺町から五合橋線を北上すると、「梅の里」という交差点がある。その交差点を左折すると、不思議な光景に出くわす。

まず右手奥に保育園を併設されている浄土真宗・浄徳寺さん、そしてしばらく歩くと左手奥にはラジオで共演させていただいている宏林さんが住職をされている浄土真宗・浄元寺さんの本堂の上の避雷針が見える。そしてここからは道路沿いに、私が関西学院中学部時代に熱心に通った日本キリスト教団尼崎教会さん、更にその先に私の父が親しくさせて頂いていた神主さんである上村さんが宮司を務められる難波八幡神社さんがある。そしてもう少し歩くと金光教尼崎教会さん。ここでは秋に正面を飾り付けられてお祭りをされていたはずだ。更にその道の突き当たりには阿弥陀如来座像がひときわ目立つ浄土宗・光明寺さん、その奥には梅まつりで有名な難波熊野神社さんが鎮座しているのだ。

徒歩約5分というわずかな間に、宗教施設が7カ所もある通りなどなかなか見付けることができない。「尼崎の珍百景だなぁ」と思いながらその道を引き返す途中、たまたま難波八幡神社の上村道忠宮司さんに呼び止められたので、この通りの移り変わりを聞いてみた。

「神社やお寺は昔からあったと思います。キリスト教の教会は、上村盛治元尼崎市長さんの私邸で、元市長の死去後、昭和39年に移り変わってこられました。金光教さんも昭和30年代初め頃にこちらにこられたではなかったかなぁ」とのこと。「こんだけあると“宗教通り”ですな」とポツリ。

時代を遡れば遡るほど、心の拠り所であったはずの宗教施設が、これだけ集まっている通り。私、個人的にこの通りを“癒し通り”と名付け、悩み多きときには“癒され”に訪れることにしよう。宏林住職さんには“どやされる”かもしれませんが…。


江田 政亮 えだ まさすけ
だんじり祭り、地域寄席…いつでも尼崎人にオープンなお社きふねさんの第17代宮司。「国道43号線にだんじりを走らせたい」と南部再生への想いは日々強まる。ラジオ番組「8時だヨ!神さま仏さま」(FMあまがさき毎週水曜日夜8時~)も好評放送中。podcastも。