フロラボ 第4回 第一敷島湯

銭湯調査員が尼のフロ場をかんがえる。

殿方目線 映画のセットさながらの空間

丸い浴槽が特徴的な浴室

大正12年創業、3代80年続く杭瀬の老舗銭湯。喜寿を迎えて益々軒昂なおかみさんが丁寧に迎えてくれる。時代を経た、威厳のある佇まいも見事だが、開店前から多くの常連が並ぶその魅力は、何よりも「変わらなさ」だ。おかみさんは「今時サウナも無くて」と恐縮するが、30年以上置いてあるというばね式の体重計、近くの商店の広告入りの鏡、1回20円で動くマッサージ機。まるで舞台道具のように揃えられたそれらの小道具のお陰で、「3丁目の夕日」を思わせるレトロ感にどっぷりと浸かることができる。常連になると入浴セットを預けておけるのだが、何年も来ていないお客さんの分も置いておくので棚が一杯になってしまっている、という人情味も今や貴重。最近の変わったことと言えば「脱衣所の天井に特大の扇風機を設置したら、天花粉が飛んで困るのですぐに取り外してしまった」とのことだがこれも40年前のエピソード。雑然とした町の中に、ゆっくりとした時間の流れる空間が今も残っている。

男湯担当:江上昇
市役所のMr.いっちょかみ。どこにでもいるので見つけるのはウォーリーよりも簡単だ。

婦人目線 アフター5に銭湯のススメ

子育てママにもやさしい脱衣場

今回は仕事帰りにふらっと手ブラで行ってみた。番台で貸タオルを受け取り、石鹸を購入(20円!)し、昔ながらの雰囲気ながら綺麗な脱衣場へ。「すぐ痩せる!」と少々誇大な広告が目立つダイエットマシーンが目を引く。浴場へ入り、まず注目したのはシャワーヘッド。何やら石のようなものが入っていて、そこを通って出てくるお湯にはマイナスイオン効果があるそう。女性にはたまらない。ちなみに男湯には1つしか設置されていないそう。何となく得した気分で体を洗い、いざ浴槽へ。壁を彩るモザイクタイルを眺めつつ体が温まってきたところで、真っ赤なお湯が気になる隣の浴槽へ。ライオンの口からダバダバ出ているそれは、そう、ワイン湯。ワインに酔いしれながらも、風呂上りに念願のビールを買って飲んでいると、番台の奥さんが珍しそうな顔を。若い女子もビール飲むんですよ! 余談ですが、帰りは杭瀬商店街で安く夜ごはんを仕入れて身も心もほくほくに。今日の疲れは銭湯で癒して明日からも仕事がんばろう!

女湯担当:北原のぞみ
尼崎市民5年目に突入。フルーティーなボディーソープを使うとお腹が減る食いしん坊。


杭瀬交差点から国道2号線を東へ。杭瀬田高田の交差点北西の路地を入ってすぐ。目印は煙突。