尼的観光地図(マップ) 第8回【初島界隈】

尼崎南部を旅人気分で歩いてみた。

そっけなく感じる町で見つけた人間味

【アクセス】大物駅から南へ15分

その昔港町として栄えた初島は、今も交易などの需要を持つ企業の町としてその名残を見せる。ひっきりなしに行き交うトラック、ものづくりに励む工場、材料を積み込む船舶…メカ好きなら思わず生唾を飲み込んでしまうようなアミューズメント空間である。

井戸端会議が繰り広げられる路地裏的風景を好む私のような人間にとっては、どこか無機的で息苦しく感じる旅行かもしれない。

しかし、そんな緊張感のある旅だからこそ、出世稲荷宮にたどり着いた瞬間の安堵感はひとしおなのだ。威厳ある形相にもかかわらず巻物らしきものを優しく口にはさむお稲荷さん達が、勇ましくも愛おしく感じる。これは心拍数の上昇を恋愛と勘違いする「つり橋理論」な気もするが、それもまた旅の醍醐味ではないか。

この出世稲荷宮、幾度の災害に見舞われながらも住民の努力と霊験により守られてきたという。この一見機械的な初島の町にも人間味あふれる歴史を垣間見た時、見えるものだけがその町の風景ではないのだと気づかされる旅となった。

1 出世稲荷宮
名前の通り出世のご利益があるとされる氏神様に御挨拶。
2 あまドラとゆかいな仲間たち
尼崎ドライブスクール、略して「あまドラ」は教習所カーは、ポップな動物キャラクターからレーシングカー風まで、幅広い種類の外装が揃っている。
3 ちょっとだけサイクリングロード
運河沿いは人通りも少なく、一人で感傷に浸りながら駆け抜けたい時におすすめ。
4 船舶積み入れ見学
運河沿いからのぞきこむことができる。なかなかの迫力!

旅人が(独断で)つけた通信簿

こじんまりした島なので、半日もあればゆっくり周れる。「工場萌え」の人は島全体を楽しめるが、自然が好きな人は川沿いを歩くと安らぎが得られるかも!?


尼の旅人:出口寛子(でぐちひろこ)
武庫川女子大学生活環境学部生活環境学科・助手 兼 大学院生。晩酌が生きがい。