フロラボ 第3回 長洲温泉

銭湯調査員が尼のフロ場をかんがえる。

殿方目線 絶妙の「間取り」を体感すべし

建築を生業とする筆者としては「間取り」が気になるところ。図面を勝手に作ってみた。入口は定番の番台形式。洗い場を囲んで8種類もの浴槽を配した機能性に脱帽だ。ぐるりと時計回りで巡る動線も考えられている。「銭湯は身体を洗う機械である」と巨匠コルビジェも言ったとか(嘘)。サウナを外に置き、専用の大きな水風呂を確保するところもファンにはたまらない。興奮して思わず蹴伸びをしてしまった。張り出したガラス入口は、壁をスパッと切り取ったようで、エッジの効いた昭和モダンを感じさせる。掃除が行き届いた清潔な浴場には、ところどころ花が飾られている。脱衣所の坪庭も目にも楽しい空間だった。

男湯担当:岡崎勝宏
潮江在住。三和市場の元乾物店を改修させてもらいました。「尼崎横丁」から目が離せません。

婦人目線 パワースポット、長洲にあり

何を隠そう、人生初の銭湯である。道に迷いながらも自転車こぎこぎたどり着いた路地奥。弱気な私は、一見さんお断りの老舗料亭のような雰囲気を(勝手に)感じ、若干ビビりながら暖簾をくぐった。が、そんな新参者の私に「自転車で来たん!? 暑かったやろー」「何か飲む?」と気さくな五島久恵さん。一気に不安はふっとんだ。私の相手をしてくれている間にも、別のお客さんと世間話。常連さんばかりの脱衣所にも不思議ととけこめそうな気分に。見上げればロッカーの上には立派な蘭の花がズラリ。「お客さんに分けてもすぐ枯れてしまう」のに彼女の手に掛かれば見事に花をつけるそう。「最近は若いお客さんが少なくて」。でも昼間からお風呂に入ってのんびりする贅沢さといったら! 銭湯全体に漂うユルユルとした感じは、高価なスパや遠方のパワースポットにはない癒しのチカラがある。ホカホカの風呂上りにコーヒー牛乳を飲みながら、「次回はビールでしめよか」と企んでみたり。

女湯担当:北原のぞみ
尼在住4年の新参者。尼崎横丁でたまに売り子してます。


尼崎小田高校の南西。昭和42年の創業時から薪でお湯を焚き続け、浴槽には備長炭を入れる。柔らかな湯あたりはクセになる。

長洲中通3-5-1 13:30-23:15 無休 TEL:06-6401-0219