ずっと前から気になってた 武庫川 噂の真相

謎のメンバーズクラブ、高級料亭、伝説の大木…武庫川を取り巻く都市伝説の真相にせまります。

河川敷に会員制娯楽場があった。

武庫川駅の下から麻雀牌を混ぜる陽気な音が聞こえてくる。多い時には雀卓6卓が並び、40人近い男たちがそれを取り囲む。朝9時半から夕暮れまで開かれる、この青空娯楽場がはじまったのは今から18年前のこと。世話人とおぼしき男性に「僕も遊ばせてもらえますか?」と聞くと「ごめん、会員制やねん」と断られてしまった。マナーが悪い輩が来ると喧嘩になる、との理由でメンバーの紹介がないと入れず、千円の年会費を集めて運営しているのだという。「遊んでるのは定年を迎えた人ばっかり。兄ちゃんにはまだちょっと早いな」とあしらわれた。

河川敷では他にも、旧国道付近で囲碁、駅の少し南では将棋と、大人たちが勝負に明け暮れている。西宮や西淀川、川西からも腕試しにやってくるのだとか。まさに娯楽の殿堂なのだ。

川沿いに高級料亭があるらしい。

阪神武庫川駅を北に徒歩10分。武庫川の土手沿いの生い茂る樹木の中に佇む一軒「割烹甲武荘」。戦前に個人宅として建てられ、戦後、尼崎に本社を置く関西熱化学が買い取り、出張者などが宿泊できる施設に。1978年、グループ会社が運営する割烹店になった。6月の株主総会シーズンが繁忙期というのは甲武荘ならではだが、現在は会社関係の利用が6割ほどで、もちろん一般客も使える。武庫川河畔と六甲山を望む個室でいただく会席は、ここが尼崎であることを忘れる贅沢さだ。

文化財級の橋が架かっている。

国道2号線に架かる洗練されたデザインの「武庫大橋」には、橋だけ見ると武庫川がまるでセーヌ川のようにも思えてくる美しさがある。6連のアーチ、欄干に張り出したバルコニー、洋風ながら尼崎の風景になじむ意匠は、土木学会が選ぶ「土木遺産」にも認定されているほど。1926年に完成し、大阪神戸の大動脈として多くの人々や車に渡られてきた。設計監修は、米国で15年間橋梁技術を学んだ増田淳。全国約80橋を手がけた橋のスペシャリストの作品は、阪神大震災にも耐えている。

伝説のクスノキさんがいる。

武庫川駅前にある楠霊神社。境内に祀られているのは、樹齢400年以上とも言われる神木だ。尼崎市の指定樹木にもなっている大木は、古くから“クスノキさん”と呼ばれ親しまれてきた。駅前の食堂の名が「くすのきや」というところからも、その親密度がうかがえる。この大木と対をなすように、河川敷には大きなこぶがあるクスノキが立つ。これらは「親子くす」「夫婦くす」と呼ばれ、地下で根っこがつながっているという噂も。他にも「河川工事の際に切ろうとして災害がおこった」「水害の際にこの木に登って助かった」など数々の伝説が語り継がれるクスノキさんは、武庫川の守り神なのである。