フロラボ 第2回 神田温泉

銭湯調査員が尼のフロ場をかんがえる。

殿方目線 季節風呂に誘われ銭湯のトリコ

露天風呂から見上げる冬の空に、湯気と柚子の香りが立ち昇る。一年で最も日が短いこの日、柚子湯で温もろうと寒い中を馴染み客が集まってくる。開業以来続く神田温泉の冬至の光景だ。湯船に50㎏の柚子が浮かぶ。

「ゆず50kg」の張り紙がインパクト大の冬至湯。

柚子湯だけでなく菖蒲湯や岩塩、すだちなど素材にもこだわった季節風呂を月替わりで用意する。「変わり湯は銭湯に来てもらうきっかけづくり。家庭や入浴剤では出来ない湯でないと」と、先代から家業を継ぐ、ご主人の五島さん。「リンゴ湯もしてたんやけど、ナイフ持って来て食べるお客さんがいてはって」と苦笑い。なんとも尼らしいお話で。

内風呂の普及や後継者不足などで、まちの銭湯は減っているが「銭湯の良さは入ればわかる。まだ近所にあれば是非行ってみて欲しい」と語る。だからこそ、手間もコストもかかる変わり湯を続けている。貸し切りにして近くの幼稚園児を招待することもあるとか。人懐っこいお客さん達のために、五島さんは今夜も浴場をぴかぴかに磨き上げている。

男湯担当:伊元俊幸
立花在住。尼崎をこっそり愛する公務員。最近、畑でブロッコリーとか育ててます。

婦人目線 使い勝手満点の20時間営業

安旅派のワタシは夜行バスをよく使う。それとセットで欠かせないのが銭湯だ。出発直前、乗り場から出来るだけ近い銭湯で体を温めバスに乗り、翌早朝着いた旅先で窮屈な車中で凝り固まった体をほぐすため真っ先に銭湯へ…が理想だが、これがなかなか難しい。早朝から営業している銭湯が圧倒的に少ない。そんなお困り安旅派のアナタ(いや?ワタシ)の味方が「神田温泉」。何とも使い勝手よろしく早朝6時~深夜2時までの驚きの20時間営業。ってことは、『尼崎発着、現地ゼロ泊の夜行バス弾丸トラベル』なんてことだって快適に(?)できてしまう。しかも女湯には広い露天風呂付き。出発前に尼崎の夜空を見上げながら旅先に想いを馳せ、帰着早朝には朝日を浴びながら旅の疲れを癒す。なーんてことを、冬至の日に取材と称し、真昼間から露天ゆず風呂に浸かりながら妄想してた。そんなワタシの横では常連のオバちゃんたちが頬を紅潮させて入浴中。こんな銭湯が日常使いできるなんて尼崎は贅沢なマチだね。ホントに。

女湯担当:香山明子
自宅の給湯器は冬はパワー不足になりがちで、ぬる湯に体を沈めるしかない小市民。


早朝から深夜まで営業という使い勝手のよさは抜群。常にこまめな清掃が行き届き、清潔感ある浴室・脱衣所ともに使い心地も◎。

神田北通8-219 6:00~26:00 年中無休 TEL:06-6411-2855