サイハッケン 島根の恵みが東難波町にあった。

島根の恵みが東難波町にあった。

店内のあちこちに「島根」「出雲」の文字が躍り、陳列された商品ラベルは見慣れないものばかり。ここは島根産、とりわけ出雲の食材を扱うショップで、尼崎が関西初の出店地だという。

「島根在住のオーナーが、趣味で野菜を作るうちに、島根の味をもっと広めたいと思ったのがきっかけです。運送コストの問題で関西ではほとんど出回っておらず、自分で売ろうと考えたようです」と店長の野田さん。でも、なぜ尼崎に？

オーナーとは、出雲で運送会社を経営する上田広美さん。取引で尼崎中央卸売市場に来る機会が多く、定宿は自然と尼崎になった。食事で夜の街にくり出すと、多くの島根出身者と出会った。上田さんは「ここなら受け入れてもらえる土壌があると思った」と話す。

鍋にすると絶品のノドグロが、生のまま店頭に並ぶ。

「これどうやって食べるの？」的なやりとりも多い店内

唐辛子の入った練り物「赤天」、海の砂と海水で育てた「西浜いも」、濃厚なうまみの高級魚ノドグロ、そしてふっくらとした味わいの神西湖産シジミ…いずれも自身がバイヤーとなり集めた商品を、鮮度抜群のまま毎日直送する。自社のトラックを駆使することで、運送コストの課題も解決した。

「食べてどう感じたのか、尼崎の人の反応は分かりやすくて勉強になる」と上田さん。今年7月の開店当初は島根出身の年配客が多かったが、最近は口コミで地元の主婦も増え、割合は半々に。品定めも出費にも厳しいアマのおばちゃんの心を早くもつかみつつある。