尼ニ住ム[amanism]

マンション、長屋、一戸建て…住まいの種類は数あれど、「尼に住む」人たちが選んだお家や暮らし方にこだわりの「amanism」を見つけた住まいの特集。

case01 7LDK共同(?)生活 [元山卓也さんほか6名の場合]

「よく遊んだりしてて、『みんなで住んだらおもろいんちゃう』って言ったのが最初なんです」。理学療法士の元山卓也さん(右手前)が、友人5人と共に住み始めたのは3年ほど前。友人に関西学院大の学生(当時)が多く、大学に近いのもちょうど良かった。「最初の頃はみんなでサッカーのW杯観たり、ゲームやったり。リビングでターンテーブル回した時はさすがに隣の人に怒られました(笑)」。以来、卒業や就職の度に少しずつメンバーを替えつつ20代男子の下宿的共同生活は続いている。

この家、7つの部屋が3フロアに分かれている。「たぶん2世帯住宅用やと思うんですけど。それぞれにプライベートのスペースがあるのが良かった」とは物件を見つけてきた大原哲夫さん(左中)。JR立花駅から徒歩5分ほどにもかかわらず、家賃は一人2万5千円ほど。光熱費を入れても4万円弱だ。スーパーから商店街まで買いものには便利だし、食べたり飲んだりの店も駅前に充実。そもそも7人中2人は立花と阪神尼崎でバーをやっているので遊ぶのには困らな い。「連れ立って銭湯とかコインランドリーに行ったり、朝まで麻雀したあと喫茶店にモーニング食べに行ったり」(中井知之さん・ネットワークエンジニア・左奥)。快適でありつつ、どことなく下町らしさが漂うのがこの街ならではだ。

ホワイトボードには家賃や光熱費など各自が払う金額が。以前住んでいて、まだ精算が終わっていないメンバーも…。
住人たちの目下のブームは麻雀。週に1度はリビングが雀荘になる。

ちなみに、現住メンバー7人が一堂に会したことはない。撮影の日も、イベント会社勤務の横田洋平さんはお仕事につき欠席。「でも、これくらいでちょうど良い」とメンバーは口を揃える。「遊ぶ時もあるけど、基本は朝起きる時間も帰ってくる時間もバラバラ。だから楽しいんだと思います」(井上裕二さん・バー店長・左手前)。適度な距離感――これが彼らにとっての「amanism」のようだ。

case02 向こう3軒お隣さん生活 [岡崎勝宏さんの場合]

「釘一つ打てないマンションより、暮らしにあわせて手を入れたくて」と、岡崎勝宏さん(38)は3年前に立花のマンションから潮江2丁目へ。「自転車で市内を探し回ってやっと見つけた」という場所はJR尼崎駅から徒歩5分。再開発エリアの少し北側には、今も路地裏の風景が残る。

住まいは築43年の一戸建て、職場である建築事務所は近くの長屋に構えた。毎月家賃は大家さんに手渡しだし、ご近所からおすそわけをもらうことも。「このお兄ちゃんがいるから安心なんよ」と取材中も銭湯へ行くお隣さんに声をかけられ、町内会の回覧板が回ってくる“下町感”は本物だ。

街の大先輩たちに囲まれて暮らすのが彼の「amanism」。「大家さんに頼まれて2軒隣も改装したんです」と案内してくれた部屋は、長屋のよさを残したレトロな雰囲気。シャワールームも増築し「若い夫婦に住んでもらえたいなあ」と新たなご近所さんを待つ。