神主のぶらり街歩き 連載第6回 尼崎南部で実りの秋を実感!?

健康のため、ウォーキングを始めた。でもただ歩くだけでは面白くない。そこで、神主の目でまちを観察することにした。

十月は別名「神無月」。出雲大社に日本全国の神さんが集まって会議をされるため、神社を留守にされるところからこう表される。また、神さんが必要無いほど過ごしやすい時季であるからとも言われる。確かに気候は最高だし、実りの秋と言われるように食べる物も豊富にあり一番美味しい季節だ。

さて、尼崎の南部で実りの秋を感じることができる場所があるのかな、とぶらり探してみた。北部では昨年稲刈りをした経験もあったが、正直南部ではそのような場所は無いと思いこんでいた。しかも私の日頃のウォーキングエリアでは見かけた事がなかったので、ダメもとで西へ足を延ばした。旧国道を西へ西へ、更に西へ。琴浦神社を過ぎ、尼崎宝塚線(尼宝線)といわれる幹線道路を北へ上がった。その間にも、かつては田んぼや畑だったのだろうなと思われる場所には駐車場が点々と存在していた。

やはり南部では実りの秋は商店街でしか実感できないのかと諦めかけたとき、右手に畑を発見。更に幹線道路から一本東に入ると所々に畑を見付けることができた。「畑、あったど~」とプチ感動。しかもビニールハウスまで…。場所は大庄西中学校付近で、青々とした野菜などが畑を彩っていた。発見するまで結構歩いたので、“ぶらり”ではなく“かなり”街歩きとなってしまったが、畑と野菜の香りを十分に楽しんで帰途に就いた。

尼崎では江戸時代から海沿いの新田地帯で「尼いも」が栽培されていた。味は甘く、細長い形のサツマイモで、京都や大阪の高級料理屋に卸されていたが、台風の被害で1950年には姿を消してしまったそうだ。また尼崎の地名の「神田」は、神さんにお供えするための稲が育てられていた田んぼがあったことから「神田」となったとの言い伝えもある。

今回、ぶらり歩いて、尼崎南部産限定の米や野菜、果物を神前にお供えして収穫祭をしてみたいと思った。「おっ、懐かしい味やん」って神さんも喜んでくれそうですしね。


江田 政亮 えだ まさすけ
だんじり祭り、地域寄席…いつでも尼崎人にオープンな南部のお社きふねさん(貴布禰神社)第17代宮司。「国道43号線にだんじりを走らせたい」と南部再生への想いは日々強まる。