アマとシマをつなぐ人

沖縄球児へエール届けて

写真は地方大会での市尼高の応援。元ヤクルトの池山や巨人のルーキー金刃を輩出した強豪にも期待が高まる。羽地先生に「市尼が甲子園に出たら?」と聞いてみた。「それ、よう聞かれんねん。もちろん、どっちも応援するよ」。

ハイサイおじさん、安里屋ユンタ、島人ぬ宝…沖縄のメロディーが真夏の甲子園に鳴り響く。毎年100人を超す吹奏楽団を率いてアルプススタンドから沖縄代表球児にエールを送るのは、市立尼崎高校の吹奏楽部顧問、羽地靖隆教諭(59)。25年以上前から続く、尼崎市内の中高生による「沖縄友情応援」だ。宮古島で生まれ、中学生の時に尼崎へ移り住んだ羽地さんが、故郷の子どもたちがさみしくないようにとはじめた。

市尼高吹奏楽部は県下屈指の実力校。コンクールと甲子園大会が重なることもある。「アルカイックホールからそのまま甲子園に直行したこともある。夏はほんまに忙しい」。それでもアルプススタンドで飛び交うウチナーグチ(沖縄の方言)や毎年楽しみにしている関西在住のおじいやおばあの姿に元気づけられるという。忘れられないのは、沖縄尚学が優勝した1999年の夏。敵味方関係なくスタンドを2周するウェーブを見て涙が出た。

沖縄がアメリカに占領されていた歴史を知らない生徒もいる今、この応援が沖縄の歴史を知る機会にもなっているという。

「昔は同情心で声援が送られていたが、最近は沖縄代表も強くなり本当の意味でのファンが増えている」とタクトを振る手ごたえを感じている。