芥川賞作家、カリスマ漫画家も オーサー列伝

文豪、奇才、巨匠、カリスマ…尼崎ゆかりの作家たち。彼らが吸った尼崎の空気や肌合いはきっと作品にも宿っている、はずだ。

SFの巨匠・小松左京

日本SF界を牽引する巨匠。長編からショートショート、宇宙から下町まで幅広いジャンルで膨大な作品を手がける。「日本アパッチ族」の印税で伊丹から尼崎へ引っ越し、「日本沈没」の上巻は東富松で書き上げた。SF仲間の星新一が彼に送ったはがきの宛先には「尻崎」や「屁崎」と書かれていたとか。


多才な奇才・中島らも

立花の歯医者の次男は広告文案家を皮切りに、エッセイスト、作家、劇団主宰者、バンドマン…と、あらゆる足跡を残した。神戸に比べ、尼崎への視線はクールだが、市制70周年に寄せたコピーに意外とピュアなアマ愛がにじむ。「ぼくがすきな まちをすきな きみがすき」。


東洋のシェイクスピア・近松門左衛門

江戸時代前期に活躍した歌舞伎・人形浄瑠璃の劇作家。実際の事件を題材にした世話物というジャンルを確立するも、曽根崎心中は心中ブームのために上演禁止になってしまったほど。開山に大きな役割を果たした久々知の広済寺は、近松の菩提寺として知られる。


少女漫画のカリスマ・矢沢あい

市立尼崎東高校在学中「りぼん」でデビュー。「天使なんかじゃない」「ご近所物語」とヒット作を連発、男性読者も増やした。初期作品にヤンキーが多く登場するのはやはり土地柄か。「NANA」は映画化、アニメ、主題歌が大ヒットした。アジアや欧米でも評価が高い、日本を代表する少女漫画家である。


ニューアカの旗手・柄谷行人

夏目漱石、坂口安吾、中上健次らの文芸批評から出発し、哲学や経済学、政治学まで多岐に渡って考察・発言を続けるニューアカデミズム知識人。マルクス研究やNAM(資本と国家への対抗運動)の提唱は、労働運動華やかりし時代の尼崎のDNAか。トラファンでもある。