尼崎で発見!近未来建築

国道2号線と道意線の交差点に鎮座する、エキスポの展示物のような建造物の謎に迫った。

「宇宙船不時着陸!」ではない

内部へも潜入取材!
コックピット内は外観から想像がつかないほどゆったり。座席は3つあり、マイクとアンプを通して交通安全を呼びかける。

「中のコックピットから宇宙と交信するんとちゃうか?」とか「昔は上下移動してた」なんて、本当か冗談か分からない噂話ばかり耳にする。

真相を確かめるべく、尼崎西交通協会へ。「『あれ何ですか』っていう質問、よくあるんですよ」と大橋事務局長が当時の資料をもとに詳細を教えてくれた。

建造物の名は「交通安全祈念塔」。1974年に同協会20周年記念事業で建てられた。道路を象徴する高さ12mのタワーに標語を掲げ、交通事故「ゼロ」の願いを球体で表現した。デザインコンセプトに多少の無理があるが、そこはご愛嬌。

球体内部は、違反の取締りや啓発活動に使われる、いわば安全の見張り塔。中は蒸し風呂状態と思いきや、エアコン完備。「現在補修を検討中です」と、まだまだ現役続行だ。

珍建築ながら、30年の歳月を経て今や尼崎南部のランドマーク。近未来的デザインにノスタルジーを漂わせながら…。


Text:若狭健作