南部再生第18号:もくじ
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food風土 弁当屋「弥次郎兵衛」

天むす持って万博に行こう

 空前の名古屋ブームだそうだ。愛・地球博に新空港、世界のトヨタに名古屋嬢。オレ流ドラゴンズのV2は阪神が阻止してくれるにしても、景気のいい話に関西は押され気味。何かあやかれる話はないかと町を歩いてたらあったあった。天むす、である。名古屋名物(発祥は三重県らしいが)として広まった、あのえび天のおにぎりが尼崎で食えるという。

天むすは3個入り504円。出し巻きとウインナーが付いた1個入り(315円)も。

 三和商店街の外れにある弁当屋「弥次郎兵衛」。「米屋のごはん」と看板にあるとおり、米穀店の奥さん、竹森敬子さん(63)が17年前に始めた。天むすは、梅や鮭の定番おにぎり、具だくさんの田舎巻きと並ぶ人気メニューだ。昼時になると、市場で働く人や子どもたち、お年寄りが次々に買っていく。

 つやつやの俵むすびは独自にブレンドしたコシヒカリ。にゅっと突き出したしっぽも愛らしいえびが市場の厳選品なら、それを包む柔らかな衣も特製。毎朝丁寧に汚れを漉した植物油で天ぷらを揚げ、ふっくらと優しく握る。「お年寄りのお客さんが多いから、脂っこいのはだめ。コンビニおにぎりみたいに機械じゃなく、手で握ってるから冷えても美味しいのよ」

 竹森さんの話にうなづきつつ、むしゃむしゃ頬張っていると、弁当を仕込んでいた周りのおばちゃんたちがあれこれ世話を焼いてくれる。「おかずも食べてみ」「お茶は足りてる?」「お代わりは」…

 結局、ふきとタケノコのあっさり煮、ごま豆腐までご馳走になり、もう幸せいっぱい、腹いっぱい。久しぶりに帰省しておかんと食卓を囲む息子の気分だ。「うちの弁当は、家庭の味そのままやから」と竹森さん。たしかに。名古屋発の天むすを関西人好みにあっさりさせて家庭料理に変えてしまうのは、この「おかん力」だな、うん。

 「名古屋にあやかる」なんて書いたけど、いやいや訂正します。尼崎発おかんの天むす。万博に持っていって、名古屋の人に自慢してみたい。弁当の持ち込みOKになったみたいだし。

■松本 創

弥次郎兵衛
神田南通 3-83
8:00〜17:00
木曜定休
06-6413-1039